satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

初めてのブラックコーヒー

子供の頃のおやつといえば

スナック菓子が主であったが

時には

茹でたさつまいもを

お姫様の真似事みたいに

ナイフとフォークを使って

皮を剥いて食べることもあった

 

夏場には色んなものを凍らせて

食べていた

 

バナナやカルピス

中でも

甘いコーヒーをマグカップに入れて

凍らせたものが

一番アイスに近いもので

ガチガチの凍ったコーヒーに

スプーンで格闘したものだった

 

温かい甘めのコーヒー牛乳に

食パンを浸して食べたりもしていた

 

コーヒーには

ミルクや砂糖を入れるものだった

 

 

2番目の姉が大阪へ就職した

 

高校生になった私は

1人で姉のところに行く事を覚えた

スカイメイトを利用すれば

かなり安価で飛行機に乗ることができた

 

伊丹から梅田まで

リムジンバスに乗る

 

梅田に到着した目印は

丸ビルだった

外観が丸いから丸ビル

 

1人で梅田の地下街をブラブラする

多感な時期でもあり

見るもの全てにワクワクした

特に地下街のホワイティをグルグル回るのが

お気に入りだった

 

地下鉄がホームに入ってくる前に

線路を伝って聞こえる音

数秒後に

物凄い風圧とともに車両が入ってくる

その瞬間が好きだった

 

色んな色の地下鉄に乗り換えて

目的地に辿り着くと

何とも言えない達成感があった

 

その頃から

旅行=確認作業

になっていた

 

大阪駅から出たところに

ヒルトンホテルがある

なんだかとても憧れていて

泊まってみたい!

そう思い

実行した

 

まだ高校生の私は

クレジットカードなど

持っているはずもなく

1人で宿泊することを不審がられたのか

ホテル側から

保証金?として

前金で1万円支払うよう求められた

なんとも物好きな女子高生だ

 

全面ガラス張りのホテルの一室から

街の明かりを眺めた

 

ふ〜ん

こんな感じなんだ

 

バイトをして

小金がたまると姉のところに行く

と言っては

大阪の街を1人で探検した

 

ガイドブックで見た

古びた商店街を訪れたり

知らない街を散歩して

神社でお参りしたり

アメリカ村で古着を探したり

 

育児に追われていた姉も

たまの息抜きにと

夜の街を案内してくれた

 

バブルの名残を感じる

キラキラしたお店や

庶民的なパチンコ店

女性より女性らしい男性のいるお店

それらは

高校生の女の子には刺激的でもあった

 

ヒルトンホテルで1人の夜を満喫し

朝を迎えた

朝食のためカフェに向かう

トーストにバター

そして

コーヒー

 

なんだかとても大人になった気分で

ブラックコーヒーを頼んだ

 

今までコーヒーには

ミルクや砂糖を入れるものだった

 

でもその日の朝を境に

コーヒーの美味しさに気付いた

それが

初めてのブラックコーヒー

 

少し大人になった気がした

 

 

ごめんね

待たせちゃったね

 

そんなことないさ

待っている間も楽しいものだよ

それに

待っている間も

幸せを感じることができるんだ

 

 

いつの日か

一緒に並んで

或いは向かい合って

コーヒーを飲みたい

 

それは

インスタントコーヒーでも

缶コーヒーでも構わない

できればブラックで・・・

 

そう想像するだけで

今この瞬間も幸せを感じることができる

 

こういうことだったのか

 

大丈夫

いつだって幸せでいられるし

そうなろうともならぬとも

楽しい気持ちでいられることに気が付いたから