satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

グレー

勤務先の高齢者施設にて

理事長のお母様から寄贈された

年代物の七段飾りのひな人形を飾る手伝いをした。

始めて間近に見るひな人形。

 

♬お内裏様とお雛様、五人囃子の笛太鼓・・・

あの歌の通りに小箱に保管されている人形たちは

丁寧に梱包され大事にされていたことが分かる

女の子が生まれると大事に引き継いでいくものなのだろう

 

女の子の節句

桃の節句

女の子なのだから・・・

 

・・・

 

「昔は、男が先にご飯を食べて、女は後から。隅っこで食事の世話をし、刺身なんて口にしたこともなかった。お風呂も最後。男は仕事、女は家を守り子育てに姑の世話までした。それが、年を取った今、男は何もできない。女が食事や身の回りの世話をして、歩けなくなったら介助迄している。あの頃の男は、なぜあんなに偉そうだったのか。」

 

90歳が近い女性。昨年まで夫を自宅介護し、夫の入院後、1人の生活を楽しむ間もなく要介護状態となられた。家族は夫と同じ病院への入院を勧めるが、女性は断固拒否。女性が入院を受け入れられるまでの間、在宅生活の支援をさせていただく。

いつも夫への不満を語られるが、その言葉の端々に夫への想いも感じられるのは私だけだろうか。 

 

・・・

 

「この人は、結婚翌日から家に帰ってこなくなった。ゴルフにマージャンはまだ良い。何人も女性を抱えて、引っ越しの日に見知らぬ女性が紛れていて、職場の方かと思っていたら離れで仲良くしていて、愛人迄連れての引っ越しもあった。お金はまともに入れてくれず、三人の男の子を抱えており離婚もできず、車も出してくれなかったので、幼子をおんぶして歩いて山を越えて買い物にも行った。子供たちは社宅のお父さんたちの膝の上で育ったようなもの。まだ下の子が赤ちゃんの時に、愛人たちに呼び出されて弾劾裁判のようなこともあった。何かと、出ていけと言われ、今でもそう。でも出ていくところもないし、夫が出ていくこともなかった。家にいない父なものだから、子供たちは醜態を知らずに慕っている。愛人に家を建てたり、退職金も持っていかれた。」

 

まだ70代のご夫婦。夫は大手企業に勤務し今でも多額の年金収入があり、多額の税金を支払う。病気の影響で要介護状態となった夫の暴力は激しくなり、それでも「子供達は父を慕っているから」と踏みとどまっている女性。訪問の度に話が止まらず、「こんな話、誰にもできないから」と吐き出される。「いつか、この半生を本にでも書いてみよかと思っているの」と女性。

 

男は外で働いて金を稼ぐ

女は家を守って子を育てる

女は男の一歩後ろを歩く

 

そのような風土の残る地域で育った私は、それが普通だと思っていた。私も結婚して主婦になり、子育てをするのだろう、そう思っていた。

 

現実は、そうではなかった。

 

もちろん、男が偉くて、女が劣るとは思わない。

体力的な差があるのは当然で、互いの違いを持ち寄って高め合っていけたら素敵だと思う。役割分担のようなもので、得意な人が得意なことをして、認め合えたら、さらに良い方向に向かうのではないか。

 

人間を性別や年齢、人種や居住地などで分類すると、差別的な状況になりやすいのではないかと思う。差別と区別の違いは難しい。まして、私などが論じることもできないデリケートな問題でもある。

 

今は、それが正しいと思っていても、時を経て、または何かのきっかけで180度考えが変わることもあり得る。

 

みんなちがって、みんないいし

何が良くて、何が悪いとも言い切れない

 

白か黒ではなく

グレーを選択することを覚えた。