私は人に鞄の中身を見られるのには、抵抗があるが、高二の息子は、「勝手に見ていいから、弁当箱出して」という。
理解できない。。
そんなある日。
リュックの底から、なんだか可愛くラッピングされた形跡のある小ぶりのビニール袋が二つ出てきた。中には、粉々になり原型を留めない粉が入っていた。
ピンとくる自分も嫌になるが、笑みが溢れる。
おそらく
彼女に手作りクッキーをもらい、帰宅中にリュックの中で押しつぶされ、ホロホロのクランチされた粉クッキーと化したのだろう。
ちゃんと、ありがとうと言えたのかな。嬉しかったのかな?
山ほどある聞きたいことを、そっと胸にしまい、普段なら捨ててしまう正体不明なビニール袋を、そっと机に置いた。
翌日、机に置かれたホロホロのクランチクッキーは、少し減っていた。
食べてくれたんだ。
何故だか私も嬉しかった。
弁当なんて平気で残してくるのに、やはり、好きな子の作ってくれたものは、大切に食べるという気持ちを持ち合わせていたようで、一安心した。
感心感心。
どちらかと言うと、私もお菓子を作ったりする質であり、まだ見ぬ彼女も彼のためにクッキーを作ってくれたことが、たまらなく嬉しかった。
(ただ、男子というものは、大切に持ち帰り、クッキー自体を味わうことは重要ではなく、おそらく作ってくれた気持ちは受け止めているのだろうと思う。そこの感性が女子と異なることが多く、もどかしさも感じる。彼を育てていて、ようやく理解した。)
高校生の今しかできないことを、思う存分楽しんで欲しいと思っている。
できれば、弁当も残さず食べてくれたら嬉しいのだが。まぁ、仕方あるまい。