satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

続・迷惑な老婆と栗もなか

猫に餌付けする迷惑な老婆と、あれからたびたび顔を合わせることになる。

 

母の入院の件がばれぬよう、普段通りの生活を心がけていたが、近所の方々は、救急搬送される場面を見られていたようで、斜め向かいの奥様から声をかけられた。母が日中、どのようなご近所付き合いをしていたのかが見えてくる。奥様との立ち話に付き合っていると、あの老婆がやってきた。

 

「あら、お母さん、入院されたの。どこに?甘いのは食べれるの?あらぁ」

 

適当に話を切り上げる。なんだか距離を詰めてこられた気がして。その後も老婆は、何もなかったかのように、隣の空き家の庭にキャットフードをばらまき、しばし猫たちと会話をされていた。

 

翌日も、老婆は家の前を通りかかり、帰宅した娘を私だと思って声をかけてきた。娘も老婆の不審なオーラに身動きが取れず、何とか割って入って愛想笑いでしのいだ。

 

数日後、仕事から戻ると、明らかに老婆は私の帰りを待ち伏せしていた。駐車場に車を止め、急いで家に入ろうとすると、案の定、声をかけられる。やはり、無視はできまい。

 

「お母さんに、栗もなかを買ってきたの。明日、病院へ行くのでしょう?持って行ってね。お菓子は食べられるといっていたから、どうしても渡したくて、買いに行ったのよ。いつも、優しくしてくれていたから。早く元気になってね。娘さんと息子さんにも、ほら、栗もなかとカステラ、買ってきたから食べてちょうだい」

 

某百貨店の紙袋に入った栗もなかとカステラをシルバーカーの中から取り出し、玄関の方へ向かって来られる。まずい、玄関に入らないでほしい、いや、栗もなかはありがたいが、受け取るわけにもいくまい。明日、病院へ行くなんて一言も言っていないのに。押し問答の末、老婆に圧倒されながら庭先でくしゃくしゃの紙袋に入った栗もなかを受けとることになった。

 

栗もなかに

罪はない。。。

 

もちろん、老婆の気遣いはありがたいのだが、母と老婆がどの程度の距離感でお付き合いをしていたのかも分からない。栗もなかを渡そうと昼間も玄関のチャイムを鳴らしに来たと言っていた。この調子で、家にもキャットフードをばら撒かれでもしたら。。

 

母へLINEし、事の顛末を報告する。

 

老婆が言っていたように、母は自分の話をすることはなく、ただ通りかかる老婆の話を聞いているだけのようだった。キャットフードの一件もあり、周囲からあまり相手にされない老婆は、さぞ嬉しかったのだろう。玄関先にも入れたことないらしく、栗もなかを受け取ったことについては、やはり母も差し出されたものを断るのも憚られ、受け取ったと思うとの返答だった。猫の餌付けについて、老婆は母に、家に撒かせてもらえるよう打診したこともあるらしい。さすがに母もそれは、はっきりと断ったとか。

 

病院へ食べ物の持ち込みはできず、子どもたちも、栗もなかを食べることもなく、栗もなかは冷凍庫の奥深くで、母の退院を待つことになった。