ケアマネの私とオフの私の日記

書くことで気持ちの整理をしていきたい。。

離園

離院されたご主人。

 

奥様の体調がすぐれず、前倒しでショートステイご利用となった。奥様と面と向い、まだ本調子でないことをご理解され、「それなら、分かった」と満場一致でのショートステイご利用だった。

その場ではご理解いただけても、数分後には忘れてしまわれるだろう。担当者に状況を説明し、奥様の体調回復されるまでのショートステイであるとマジックで大きく紙に書き、居室に貼らせていただいた。

 

翌日の夜だった。

 

「ご主人が、一人で家に帰られて、その間に転倒し頭から出血があるため救急車を呼びました」

 

と施設事務長からの連絡。

 

おそらく20時頃の巡視時に、ご主人の姿がないことが発覚。同時間帯に奥様より、ご主人が家に帰ってきたと施設にお電話があり、給与計算で残業されていた事務長が自宅に訪問されてのお電話だった。

 

救急搬送されるも、幸い頭部に異常はなく後頭部の擦り傷とお尻の内出血のみ。入院を勧められるも応じられるはずもなく、奥様と帰宅されたのは2時を回っていた。

 

施設から自宅は登坂で徒歩10分ほど。

 

翌日、夜勤の方に状況を伺うと、夕食を食べすぐに居室に戻られ、日中から「妻が具合が悪いから戻らないと」と繰り返されていたらしい。居室には腰の高さほどの窓があり、換気のため施錠はしていない。その窓際にベッドが接地しており、ベッドに乗れば窓は乗り越えられる。窓の外の軒下には靴の跡が残っていた。

 

その日の18:30頃、別の職員が帰宅する際、パジャマ姿のご主人が自宅とは逆方向に歩かれるところを見かけており、ドラレコにも残っていた。ただ、普段から散歩の習慣もあり今回の緊急的なショートステイの情報は届いていなかった。

 

庭先から自宅の窓をたたき、奥様が帰宅に気づかれたのは20:25。夕食は17:50に提供。ドラレコに残る姿は18:30頃。約2時間、歩き続けておられたのか?

 

離園。

 

幸い、自宅に戻られたのでよかったが、施設では過去にもこのようなケースがあったと聞く。今回も、私の対応も含め、各々の細かな配慮不足が重なり、離園となってしまったと考えている。

 

ご主人はどこから出たのか、どこで転倒されたのか記憶にはない。とにかく家に帰りたい。奥様が心配でらしたのだと思う。

 

ご家族側は、もう預かってもらえないかもしれないという心配、なぜ離園という状況になったのかという疑問、管理体制に対する怒りもお持ちかと思う。

 

ショート担当者からは、今後は窓からの出入りができないビル型施設のショート利用を勧められた。

 

そんな状況じゃ在宅生活は大変ねという声も聞こえる。

 

各々の立場から各々の見解がある。

 

自分も含めてリスク管理の甘さを痛感した。社会福祉法人に長く勤めているが、どこか一般企業よりもその点の認識は甘いと感じている。実際、働き手がいないからとサービスの質の低下も致し方ないとの見方も根強く、コロナ感染時にしろ、今回の離園にしろ、透明性を持った対処ができているとは思えない。説明を求めるとクレームと構えられる風潮。

コロナ感染で面会ができなくなり、今まで普通にご家族が施設に出入りし、食堂で食事介助をする姿もあったが、私の住む地域の福祉施設の多くは未だに窓越し面会。コロナ流行時には集団感染した経緯があり慎重にならざるを得ないことも十分理解できるが、在宅支援を担当しているケアマネからするともどかしい。施設と在宅の感覚には大きな乖離を感じる。地域密着といいながら、施設内部の様子は分からず、感染対策が優先され、施設の中だけで完結されるように思えてならない。

 

話が逸れてしまったが、今回の離園について、私も含め検証が必要だと考えている。クレーム扱いされるかもしれないが、再発防止のためには必要なことだろう。

 

ご夫婦が今の暮らしを続けられるよう、次の一手を考える。