satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

施設入所

90代高齢夫婦の二人暮らし。

要介護5の妻を要支援2の夫が介護されている。夫はまだ在宅でコンサル業務をされており、易怒性もみられるため慎重な対応が求められる。

 

夫から施設入所の相談があった。

 

とにかく妻は入院を嫌い、数日で自己退院され急激なレベル低下につながった経緯もある。県外の息子さんを交えての初回面談時、救急車を呼んでも入院には至らなかった。100人中100人が在宅介護は無理があると答えるであろう状態で5か月が経過しようとしている。「わしの腰がつぶれるまで、自宅で一緒にみてやりたい」そう言っていた夫からのSOSとも感じられた。

 

夫婦ともコロナ感染を経て、後遺症に苦しむ夫をみた本人からも「施設に入りたい」との言葉が発せられた。過去の経緯もあり、施設に入るとはどういうことなのかをご説明し、入所の意向を確認し、翌日、数件のパンフレット持参し訪問した。

 

「あの人は朝と夕で言うことが変わるから、どうだろうね。聞いてみて」と夫。

 

昨日は、夫も早々に施設入所を希望され、自身の体力も限界と話されていたが、今日は体調も良いようで、昨日と様子が異なる。嫌な予感しかしない。

 

案の定、昨日訪問看護から薬をもらい、夫の体調は回復。まだ介護ができるとの方向にシフトし、本人も「あの時は、夫が大変そうだから施設に入りたいといったけど、もう

大丈夫そうだから、(入所は)どうしようかな。夫に聞いてみて」との返答。夫も「いつ入るの?どうするの?」とは言われるものの、まったく入所の意向はないように見受けられる。

 

分かる。分かりますよ。

 

ご主人がコロナ後遺症で大変そうな中、おむつ交換や家事をしてくれることが申し訳なく、ご自身が施設に入ればご主人が楽になるだろうと、その時は思われたのですよね。ご主人の体力が回復するまで一時的な入所としてショートステイもお勧めしましたが、ショートステイは食事が美味しくないし、人がわちゃわちゃしているから嫌なのですよね。そうしているうちにご主人の調子が良くなり、まだ在宅生活継続できそうと思われたのですよね。本当は、ご自宅でご主人と一緒に過ごされたいのですよね。

 

ご主人も、コロナ後遺症で呼吸苦を感じ、持病の腰痛も悪化しつつあり、支援の限界を感じられ、本人が望むならと施設入所を希望されたのですよね。でも、少し体調が回復されると、まだ介護ができるとの判断で、奥様の入所には反対なのですよね。

 

もしよろしければ

 

ご夫婦で、しっかりと意向をすり合わせ、方向性を統一した状態でご相談いただけないでしょうか。

 

それは妻に聞いて、夫はどう思っているか聞いてみてと言われますが、そこはご夫婦でしっかりと話し合っていただけたらありがたいのです。100人中100人が施設入所を進めても、ケアマネはご本人の意向を尊重して動きます。ご希望に沿って、どうにか在宅生活を維持できるよう介護サービスを調整してまいりました。今回も、施設を探してとご依頼があり動いたまでで、入所を希望されたのはご本人ですよね。在宅生活維持のために最終的にはお手伝いさんの提案も差し上げましたが、ご主人が動ける限りは今の生活を維持されたいのですよね。

 

けれど、皆一様に年を重ねます。遅かれ早かれ、ご主人の腰がつぶれるときが来ます。その時は今ではないのでしょうか?つぶれてしまってからでは、急には入所はできません。入院も急には難しいのです。入院や入所がかなったとしても、ご自宅のように細かな対応は難しいのが現状です。お部屋食をご希望されましても、誤嚥の危険性から対応は難しいようです。自宅のように自分のペースで生活するのはなかなか至難の業、ある程度、妥協していただいたほうが過ごしやすいかと思います。

 

婦人科の訪問診療も手配しましたが、主治医の診療情報提供書は必要なのです。信用ならんと言われましても、病院側のご事情もあられるので、こちらで勝手に動くことはできず、下手すればどの病院や事業所様にも受け入れ拒否される可能性もございます。今回の施設選定に際しましても、仲介業者様を通しており、そちらとの関係性も崩れる可能性もあり、あなた方にとっては思いのままにご要望を出され、悪気はないのでしょうが、こちらと関係事業所との関係性が崩れる可能性も抱えながらの支援となっていることはご理解いただきたいのです。

 

その時々で気持ちも変化されることは重々承知しております。少しお考えいただくために時間をおこうにも、ご主人はその時々で早急な対応を求められ、お電話をいただきます。ことが過ぎてしまうと「ごめんなさいねぇ」の一言で終結され、ケアマネの気持ちの持っていきようがございません。ケアマネの資質不足なのでしょうが。

 

美容院の予約時には、パーマやカットなど指定することになる。ある程度、自分でなりたいヘアスタイルを決めて来店するわけで、どのような髪形が似合うのか、そこからのカウンセリングはなかなか受けられないのではないか。カウンセリングを受けられたとしても、じゃ、今日はカットしません、帰ります。なんてこともあるのだろうか?

 

主治医へ相談する際にも、漠然とした健康相談ではなく、この病気に対するこの部分はどうすればよいのか?焦点を絞ってくるように言われる。

 

役所も同様、意思決定の部分からの支援をしてくれることはない。そこは本人、家族で話し合ってから相談にきてくださいと言われる。

 

ケアマネもそう言いたい。

 

情報は提供するが、今後の方向性、生活の意向は、ある程度家族間で話し合い統一してから相談してほしい。

 

過去にも家族支援をするのはケアマネの仕事でしょうと、長男夫妻の夫婦間の問題解決を求められたり、本人に聞いて、息子に聞いてと間に挟まれたりする場面も多々あった。

 

分かってはいる。

 

家族間の意見をまとめる難しさがあることも。本人の意思決定支援はケアマネに課せられていることも。

ただ、日々の業務でそこからから関わるには時間が足りない。深く関わればかかわるほど、時間が足りなくなっていく。

 

次、同様の事態に直面した際に、どう支援してゆくか、自己防衛も図りながら、本人の意向に沿うためにはどうすればよいものだろうか。