前髪を自分で切った
このパターンはいつも失敗する・・・
分かっている
自分で切ったら失敗することも
結果が分かっていても
切りたい＝変化したい
の衝動を抑えきれないのだ
分かっている
今この角を曲がらないほうが良いことも
でも
止められないのだ
分かっている
今日は何となく上手くいかない日だということも
キューピーちゃんのようになった前髪
1日中凹み
何もかもマイナスに進んでいく
分かってる
何が原因でそうなったのかも
仕事帰りに遅くまで開いている美容院を予約
会議はいつもより30分早く開始し
予定通り美容院に到着
雨が降る中
水たまりを飛び越えて
一目散にビルの2階にある美容院に駆け込んだ
お願い。助けて・・・
やはり
女性にとって髪、特に前髪の状態は
大変重大な問題なのだ
ここ数年は
切りたい衝動に駆られることなく
前髪に意識を向けることもなく過ごしてきたのに
少しでも気になりだすと
そのことが頭から離れなくなる恐怖
初めて行く美容室は
笑顔の素敵な青年が担当してくれた
若いわりにごつごつした手は
荒れてあかぎれができていた
もう二度と来ることもないであろう美容室で
軽い冗談を交わしながら
その青年の無知さを感じ取り
これからの人生で青年が何かに気づき感じ取り
いつしか自分の店を持つのか・・
それとも
このまま大型店舗で安定した収入を得て
結婚し子供を作り社会に貢献していくのか・・
運転しながら1人案じた
翌日
やはり前髪がまだ気になる
でももうこれ以上切りたくはない
また１日を前髪のことばかり考えてやり過ごしてしまう
かなり長く愛用しているシャンプーがある
その販売店は市内に数店しかなく
職場からも近く以前から気になっていた美容室にlineしてみる
数十分後
丁寧に今日の予約も可能と返信いただき
即予約をお願いした
仕事の合間にその美容室のブログをチェックするが
いまいちよくつかめない
行ってみるしかなかった
なにせ
自分でも青年でも修復不可能な前髪なのだから・・・
小雨の降る夕方の渋滞に巻き込まれたが
ブログで見た通りの外観の美容院に到着した
雑居ビルの１階にある落ち着いた雰囲気の美容院
扉を開けると薄暗く
個性的な美容師さんが迎えてくれた
何をやっても上手くいかないときがある
前髪もしかり
動けば動くほどどつぼにはまっていく
それはまるで蟻地獄のよう
分かっている
でも止められない
2日連続の美容院は初めてだった
誰が２日連続して行ったらいけないって言った？
なんて言われようと構いはしない
というか
誰にも話してはいないし
自分で自分に突っ込む
行って正解だった。
今日の今日で予約が取れたのも
良い流れに変わっていくような気がしていた
土曜の午後にも関わらず
客は私1人
丁寧にカウンセリングしてくださり
しっかりと髪を観察される
やはり自分で店を出す方はとらえ方が違うんだな
この美容師さんと
今後の髪の毛のことを考えていきたいな
サポートしてほしいな
自分では迷い分からないことも多い髪のこと
この美容師さんにはお願いしたいな
と思った時には
口から言葉が出ていた
髪の現状を把握し
今後の変化も見ていきましょう
と丁寧に現状と理由や可能性を説明してくれ
産毛伸びていないのでは？説を検証していくこととなった
長年悩み続けている髪の痛み
シャンプーを変え
ネットで検索し美容院を探していた
何もしないでひたすら伸ばしてみたり・・
摩擦説やパーマ説など
色々な原因が考えられ
美容師さんによって説も異なったが
この美容師さんの説には深く共感できた
シャンプーでは解決できない部分での問題
じゃあ、どうする
そこを考えていく
一緒に考えてくれる美容師さんに出会えた幸せ
自分で店を出している美容師さんが好きだ
薬剤に詳しく
こちらの疑問にも嬉しそうに答えてくれる
きっと
理科の実験とか好きだったんだろうな
餅は餅屋なんて昔の人はよく言ったもんだ
もちろん
そこには料金が発生するサービス
しっかりと仕事としてお願いする
その長年愛用しているシャンプーの話
確かに理論的にも正しく実証もある
が
やはり商売気質は隠せませんよ
別に悪いことじゃないけど
最初で他のすべてを否定するほどの
強いメッセージを発し
インパクトを与え
あえてアンチを作り
宣伝してもらう
頭の良いやり方だと思いますよ
ん～。
なんかお笑いのNにもそんな感じがしますよね？
そう
絵本を出した時にも
無料で公開するなんて常識外れのことをして
時代遅れかなんとか強いメッセージを発し
アンチNが絵本を出したらしいと結果、宣伝をし
販売部数が伸びた
あれが小説だったら
一度読めばよいからあそこまで売れなかったでしょうね
絵本は手元に置いて何度も読み返したいから
実は
僕も買ったんですよあの絵本
なるほど
あえてアンチを作るね・・
実は
美容師はおたくも多くって
あのやり方はだめだとか
あの薬剤はだめだとか
安い店ができたからいけないんだとか
批判ばかり言う奴もいて
それなら
安い店に流れないようにするにはどうしたらよいか
考えればよいし
お客さんが満足すればやり方も薬剤も大きな問題ではないし
大事なのはお客さんの満足度だと思うんです
批判ばかりして
自分たちを変えようとしない奴らの話が嫌だから
派閥にも入りたくないし
面倒くさいんですよね
だから
特定のメーカーの薬剤にこだわることもないし
実際に使ってみて
良いものを使っていく
時代が変われば変わるかもしれないし
絶対このメーカーじゃないとだめって
自分だけのこだわりですもんね
人に押し付けることでもないし
僕はどっちでも良いんですよ
批判をするつもりもないし
とか。
美容師さん曰く
自分は理屈っぽいからとのことだが
その理屈っぽさゆえの
物事への探求心を持たずに生きている人が大半なのではないか
もちろん
私もその1人なのだろう
広告を何の確証もないまま信じ込み
踊らされる
・・・
流されやすいから
気を付けてね
・・・
この美容師さんとの出会いで
もうすでに
流されているのかもしれない
自分という確固たる信念というか
自分というはっきりとしたものがないから
その時々で
聞いた話に少しでも共感できると
信じ切ってしまうのかも
じゃぁ
何をもって見極めたらよいんですかね？
ん～
僕なんか美容師で薬品の勉強なんかしているから
分かっちゃいますよね
やっぱ
分からないことだと騙されちゃうんじゃないかな？
世の中のほとんどの事象に対して
分からないから恐怖を感じ
不安に思い
少しでも都合の良いことがあったら
すぐに信じ切ってしまうのだろうか
自分を大切にする
騙されるのも自分であり
騙されても良いなんて思った方が
もっと楽に生きることができるのだろうか？
騙されやすいし
流されやすいという認識はある
でも
どうすれば・・
・・・
知りたいことは全部本に書いてありますからね
なんで
みんな分からないのかな
・・・
少なくとも
この美容師さんとの時間は有意義なものに感じた
感じる
そう
感じることはできる
言葉では表現できないが
感じることから意識してみよう
何が大事なのか？
それを忘れずに考えることができたら
答えは意外と簡単なのかもしれない
今何をして
今目の前で何が起こっているのか？
しっかりと認識できたら
答えは意外と簡単なのかもしれない
周りがザワザワしている
どうすることもできない自然の摂理で
環境は変化していこうとしている
これからどうなってゆくのか
言葉には表現できない不安を抱き
行く末を見守ることしかできない者
アクションを起こす者
それすらも感じ取ることができない者
前髪を切ることで
バランスを保とうとする者
一周回って
どうにもできないし
なるようにしかならない
そう
大した問題ではないのだろう
けれど
少しだけ世の中の事が分かってきた気がする
どうしても不安な心が勝る瞬間もあるけれど
・・・
明日
食べることのできるパンがあればいいんですよ
・・・
