正月は苦手だった
クリスマス後、急に日本人イズムが巷に溢れ、新年を迎える厳かな雰囲気にシフトチェンジしていく。
私はどこか、取り残されたようで、何かが変わってしまうようで、世間の正月ムードに恐怖すら感じていた。
今までは、仕事柄正月出勤は当たり前で、初日の出を見ながら職場へ向かうのが常だった。何とか得体の知れない不安や恐怖を誤魔化す事ができていたのだか、正月は苦手という本質は変わらぬままだった。毎年、正月を迎えるのが怖くてたまらなかった。
何って明確な理由なんて分からないけれど、ただただ怖かった。年を越すのが。正月三ヶ日が。不安でたまらなかった。
あなたと出会う迄は。
部署異動に加え勤務形態の変更も重なり、数年前から正月休みを貰えるようになった。正直、ありがたくない。できれば、普段通りに出勤して、いつも通りにやり過ごしたいのに。
モヤモヤした、こんなヘンテコな私の不安をあなたは受け止めてくれて、一緒にその時を過ごしてくれたことで、徐々に私の正月への不安が軽減されていくのを感じる。
たいした事ないんだ。
正月がきたって、何も変わらないね。
テレビをつけると、正月番組が目に飛び込んできて、お決まりの正月のご挨拶CMに心がざわついて怖くなるから、テレビは見ないことにした。
街に行くと、正月のBGMが流れてくるから、近所の散歩くらいにしておこう。
今年も少し正月への不安が和らぎ、あなたのおかげで乗り切れた。もしかすると、いつの日か、苦手な正月を楽しめる日が来るような気さえする。
あなたのおかげです。
ありがとう。