あまりドラマを観る質ではない
報道やお笑いを観るくらいだろうか
テレビすら
つける機会が少なくなった
電気でもつけるかのように電源を入れ
特に興味もない番組でも
無意識に画面を眺めてしまうから
もっと言えば
テレビのニュースを観なくとも
情報は入ってくる
人の口からであったり
新聞の見出しからであったり・・
このご時世
人と関わって生活している以上
多少のタイムラグは発生するも
情報やニュースは
必然的に入ってきてしまうのだろう
ﾄﾞﾗﾏ3年A組も
必然的に
私の耳に入ってきたものの一つであった
そのドラマが始まったのは知ってはいたが
例のごとく
特に興味も持たずにいた
たまたま何かの拍子で観たのは
第6話だっただろうか
その内容は私の心に突き刺さり
息子が録画していた第1話から
半日で一気観したのだった
今年も
早々にインフルエンザに罹患し
寝込んでしまい
息子の部活の食事会に参加できなかった
昨年は
息子がインフルエンザで参加できず
今年は親の私か・・・
ま、息子が行けるのだから
何の問題もなかった
食事会終了後
参加された保護者からグループlineに
会の映像や動画が
次々にアップされる
それ僕にも送ってね
参加できなかった私は
その楽しそうな様子に
ただ良かったなぁと思いつつ
それらを息子のlineに転送して
また眠りについた
それは土曜日の夜の出来事だった
週明けの月曜日
いつも通りに出勤し残務をこなす
夕方
学校から電話がきた
〇〇が食事会の動画をネットにアップしたみたいで
それを見た他の同級生が
動画に映っていた△△をからかい
自分の知らないところで
自分は見てもいない
自分の動画がアップされ
△△はとても落ち込んでいます
今すぐ削除させてください
相手方の親御さんにも連絡して対応してください
すぐに息子に連絡をとり削除させた
相手の親御さんにお電話するもつながらす
皮肉なことに
lineでメッセージを送信する
lineの投稿は削除したこと
息子のlineのアカウントも削除したこと
△△を傷つけて申し訳ないこと
どのような形でお詫びさせていただけばよいか
考えていることなど
息子によると
楽しくて嬉しかったから
lineのタイムラインに投稿した
とのことだった
タイムラインに閲覧制限はかかっておらず
タイムラインを見たlineの友達や
いいねをした友達の友達まで
閲覧できる設定になっていた
スマホを与えるときに決めていたルールが
守れなかったため
即解約することを告げると
息子も抵抗はしなかった
翌日
学校に伺い部活の顧問、担任、副顧問と面談をする
顧問から経緯を聞かされる
昨日息子に聞き取ったこちらの経緯を説明する
△△はひどく落ち込み
息子の謝罪も受け入れてくれない状況
その投稿内容は
食事会の余興をした動画
個人を特定できる部のジャージを着用
映っていたのは６名
周りの景色から飲食店名も特定可能
一番の問題は
映像に移っている本人の同意なく投稿したこと
担任によると
一度ネットにアップした動画は
永久に消すことができず
何か人生の大事な場面
例えば受験や就職の面接の場面で
流出してしまうかもしれない
多大な損害を被るかもしれない
永久的にその状況に怯えることになる
学校では関与できない問題である
法に訴えられ刑事罰に科されるかもしれない
など
私は涙で前が見えなくなっていた
息子の一生を棒に振ってしまった
すでに犯罪者のように
もうやり直すチャンスももらえない
私が与えたスマホのせいで
△△を傷つけてしまったのは
息子に判断能力がないままにスマホを与えた
私の責任
この動画をアップしたらどうなるか
想像力のない息子にスマホを与えた
私の責任
楽しそうだからの安易な気持ちで
息子のlineに転送し
そうしたらその後どういう事態が起こるか
予測できなかった
私の責任
すべては
親である私の責任
それは重々分かっている
深く反省し心から△△及び親御さんに謝罪したいが
今はそれすらかなわない
ならば
どうすればよいのか？
人前だというのに
止めどなくあふれ出る涙で
前が見えないまま
代わる代わる顧問、担任、副顧問と面談し
ひたすらお詫びする
すべては私の責任
誠意をもって
時間をかけて
謝罪し続けるしかないですよね
と担任
誠意・・・
この時ほど誠意の表現の仕方
が分からないことはなかった
どうすれば誠意をみせることができ
どうすれば誠意を受け入れてもらえるのか？
誠意とは
一体何なのか？
部活を辞めさせることも考えたが
それでは問題から逃げているだけだ
△△の心の負担を軽減するには
どうすればよいのだろうか？
練習には参加せず清掃をすることで
反省の態度
いわゆる誠意を示すこととなった
相手に示すことだけが目的ではない
息子自身にも
練習に参加できない試合に出ることができない
それほどのことをしたと感じてほしかった
目の前のことから目を背けずに
乗り越える術を身につけてほしいと思った
もし自分が△△だったら
どういう気持ちなのだろうか？
息子にも考えてほしかった
面談をするうちに
取り返しのつかないことをしてしまい
弁解の余地などなく
犯罪者のレッテルを貼られ
学校側からも見放されたようで
もう誰も
私と息子の味方はいない
という気持ちになっていった
大変なことをしてしまった・・・
△△の他５名にお電話し
事情を説明し
お詫びした
そんなこと別に大したことじゃないよ
電話までくれなくても良いのに
どんどんアップしてもらって良いよ
そんなこと言う人もいるんだね
私はどうもないけど
状況が良くわからないけど
分かりました
もう削除したんですね
三者三様の返答であった
確かにその内容は
たわいもない余興の一場面であり
もし息子が同じことをされても
もしかすると
私も大したことないと思っていたかもしれない
しかし
無断で投稿されて不快に思う
これが当たり前の反応だと
今はよく分かる
△△の気持ちを第一に考え
もしお話をさせていただける状況になったら
ご連絡いただけるようお伝えした
こんなに君のことを
考えてくれているお母さんはいないよ
お母さんにも感謝して
もう泣かせることがないように
変わらなきゃ
と担任
僕
変わります
ごめんね
お母さんがいけないのよ
あなたがまだスマホを使いこなすことが
できないのに渡してしまったから
スマホの事やネットの事を
もっとしっかりと伝えてから渡すべきだったの
ごめんね
1人親だから・・
そんな風に子供達が思われるのが嫌で
自分にも子供達にも
厳しくしてきたつもりだった
人様に迷惑をかけないように
厳しくしてきたつもりだった
何事も自分1人で判断し
時にはそんな自分の方向性に自信をなくし
不安になることもある
しかし
私が少しでも不安に思うと
子供達に伝わってしまうから
常に凛として強くいなければならない
すがりつく腕や
頬を埋める肩が欲しいこともあった
でも
そんな事言っていられない
私がしっかりしないでどうする
数日後
話をしましょう
と親御さんからご連絡いただく
仕事終わりに菓子折りを買い
息子と△△の家へ向かった
ここ数日
生きた心地がしなかった
息子はどんな気持ちだっただろうか？
どんな気持ちで掃除をしながら
練習を眺めていたのだろうか？
反抗期真っただ中
謝罪に△△宅へ行く
とんでもなく緊張して恐怖心もあったと思う
これまでの経緯をしっかりお伝えしようと
ネット問題の相談機関である
NPO法人に相談していた
line内の出来事であるので
その時に何者かが動画を保存していなければ
今後、動画が流出することはない
もし、流出した場合には
その流出させた者が罰せられる
刑事罰には問われないが
人としての信頼の問題である
信頼を取り戻すのは大変なことである
言葉では上手く伝えることができないと思い
経緯と上記の回答
お詫びの形として
無期限練習及び試合不参加などについて
考えていることの
文書を作成し持参した
ご両親揃って出迎えてくださった
口頭にて経緯説明し謝罪の上
文書をご主人に手渡す
私も最初何が起きたのか分からなくて
どうして
そんなことをされたのか
正直、意味が分からなくて
何を考えているのだろうって
私もNPO法人に電話したけどつながらなくて
そうだったんですね
と奥様
今までにも
そのNPO法人は講演会を開催しており
奥様も私も参加していた
スマホを持っていなくても被害者になる
その通りだった
△△は家庭の方針でスマホを持たせていない
だから
尚更、申し訳なくて
大切な息子さんを傷つけてしまったことに
自分の不甲斐なさが情けなく
何か罰を受けて償えるのなら
どんなに気が楽だろうか
お詫びの方法も誠意の償い方も
確かな方法が分からない中で
ただただお詫びすることしかできなかった
自分の意思とは関係なく
流れ出る涙を止めることができない
たまに息子が私を守ってくれて
そんな時にはとても嬉しいんですよ
◯◯もお母さんを守ってあげてね
ご夫婦とも
こちらの話にも耳を傾けてくださり
悪気はなく
ただ考えが足りずに
今回の問題を起こしてしまったこと
を受け入れてくださった
そして
SNSの問題は決して他人事ではないことを
その場にいた全員で
心から実感し共有した
事情は分かりました
これからも同じチームとして頑張っていくために
あとは
子供たち同士で話をさせましょうか
とご主人
△△は
部でも飛びぬけてプレーの上手いエースであり
周りがなかなかついていけないことへの
苛立ちも感じていたことと思う
そんなときに
こんなことで迷惑をかけてしまった
しばらく2人で話し合い
もう
気持ちを切り替えて頑張っていきます
と△△
謝罪を受け入れてくださり
やっと息をすることができた気持ちだった
今回の件で
お互いにSNSの問題に気が付けて良かったですね
これも何かの縁だと思いますよ
もうこれでこの話は終わり
また試合でもお会いするし
終わりにしましょうね
その奥様こそが
友達になりたいなと思っていた彼女である
Let‘s think
お前に足りなかったものは想像力だ
たしか第6話
軽はずみに動画をアップしようとした場面
その動画をアップすすれどうなるのか？
想像力の欠如
まさに今の息子と私の状況にリンクしていた
自分の頭で考えて、自分の行動に責任を持て
これほどネットが生活に浸透し
中学生でも８割強はスマホを所持（息子調べ）
ネットの世界に親の知識が追い付かず
子供達の方が使いこなしてゆく
しかし
いくら使いこなせたところで
そこに倫理観や想像力がなければ
現実に大変な事態が起こり得るのだ
それはネットの中で起こり
電源を落とせばなくなるものではなく
現実の出来事なのだ
そこを理解できない間は
スマホを持たせるべきではなかった
学校でも
SNSの危険性の話はあるようだが
やはり皆どこか他人事なのではないか
家の子に限ってそんなことはあるまいと
しかし
こんなにも簡単に
こんなにも一瞬で
加害者にも被害者にもなりうる
スマホを持っていても持っていなくてもだ
深く深く考えさせられた
そして
早い段階で気づかせてもらって
ありがたくも感じた
息子を1人前の男にするために
正しい判断をし正しい道に導けるよう
私こそ
よく考えて
自分の行動に責任を持たなくてはならない
何もしなくとも情報が入ってくるこの世の中で
ものすごいスピードで進化していくこの世の中で
何が真実で何が必要なのか
見極める力が必要
ネットの中の話ではなく
現実だということを理解させるには
ドラマでもあったように
ナイフで刺したら出血して痛みを伴う
そんな極限の状況を体験するほどの刺激がなければ
ネット社会に生きる子供達には
自分のこととして認識できないのではないか？
どこか他人事として
とらえてしまうのではないか？
△△には本当に申し訳ないと思っている
SNSの怖さを教えてもらって
感謝しているなんて言っては
罰があたるかもしれないが
必要な時に
必要な出会いがあり
必然なことが起こったのかもしれない
