ケアマネの私とオフの私の日記

書くことで気持ちの整理をしていきたい。。

死んだ目をした男

マスクにカモフラージュされ

しっかりと顔を見ないと

今の今まで

気づかなかった

 

その男の目は

つぶら

本来はもっと見開くことができる

のかもしれないが

その余力もない

といった様子で

全く生気を感じなかった

 

それどころか

見てはいけないものを

見てしまったような

何とも憂鬱な気分になった

 

 

目は口ほどに物を言う

 

 

死んだ目をした男は

会議では

つらつらと話を進める

 

話の間には

政治家のように

あー

えー

と唸る声が挟まれる

 

話が途切れることはなく

一見

上手く進めているような錯覚に陥るが

要点のない話を

延々としているだけのようにも感じる

 

変化を好まず

相手に意見も求めずに

淡々と読み上げていく

 

よく言えば

真面目に忠実に物事を進める

悪く言えば

融通がきかない

 

世の中には

色んなタイプの人間がいる

 

異質な者は排除しようとなりがちだか

私にとって

自分とは全く異なるタイプの人間は

良くも悪くも見習うべきことを

兼ね備えている存在でもある

 

また

相手にとっては

私ほど異質な者もいないのだろう

 

その男の本心など知り得ないが

まして

知りたいとも思わないが

少し距離をとって

しばし傍観する

 

あぁならないようにしよう

そういうところは素晴らしいな

 

その男の周りを取り巻く空間に

決して立ち入らないようにしないと

こちらも

生気を失ってしまいそうだ

 

上手く言葉では表現できないが

その男の根っこにある

ダークなものを感じる

穏やかな口調で

おそらくマスクの下は笑顔なのだろうが

何か嫌なものを感じるのだ

 

死んだ目をしていることに

気が付いてから

その男を観察するようになった

 

一見

誰よりも仕事をこなし

頼りにされ

心労も絶えないのだろう

と勝手に思っていたが

どうも

それは私の思い過ごしらしい

 

誰よりも仕事をこなすように見えるのは

職場内を行ったり来たりして

人々の目につき

忙しそうね・・となるから

 

裏方ではなく

人の目につく仕事を好み

困った顔で頑張っている

あぁ あの人は良い人ね・・となるから

 

頼りにされている存在なのは

長年の付き合いの者からの頼みは

嫌な顔一つせずに請け負い

やっぱり 彼でないとね・・となるから

 

時間に余裕があり

頼まれたらすぐに着手でき

彼がいて助かるわ・・となるから

 

そんな表向きの表情しか見ていなかった

 

よく観察し

よく考えてみると

その良い人は

その男の上辺の姿であり

本来のその男は

何か嫌な感じなのだ

 

後輩から頼まれごとをされると

引き受けた後でブツブツとごねる

 

そんなこと

目上の人には絶対にしないだろう

 

裏表があるというのだろうか

そういう性分なのだろうか

マウンティングしたいのだろうか

 

その男とは小学生の時に

同じクラスであった

同じ職場になり

約20年ぶりの再会だった

 

再会当初

その男は私に対しても

どこか冷めた態度で

若さゆえかどこか偉そうに振舞った

 

あれから10数年

その男は人が変わったように

ツンツンした感じがなくなり

まともに会話ができる関係になった

と思っていた

 

それは私の思い違いで

自分より年下の者には

未だにその対応は変わっていなかったようだ

 

残念だが

仕方がない

 

小学生の頃は

靴も履かずに裸足で走り回り

冬でも半袖で

先生の後を

鼻を垂らしながらついて回るほど

純朴だったのに

 

少年の目は

ラムネに入っているビー玉のように

無色透明で

目の前にあるものを

ありのままに

映し出していたはずなのに

 

その少年はどこかへ行ってしまった

 

20数年の間に

大人の事情に振り回され

大変な時期を過ごしたと聞いた

 

いつしか少年の目からは

光が失われ

まるで

煮魚の目の様な

濁りを通り過ぎて

凝固してしまったかのような

死んだ目になってしまったのか

 

もちろん

私にも同じことが言える

その男にとっては

私こそ理解しがたい者なのかもしれない

 

その男の嫌な感じに

腹を立てるのではなく

それはそれで受け止めたいと思う

 

私がどう感じても

その男には何一つ関係のないことであり

その男を変えることもできない

もちろんその必要もない

 

大切な時間を

そんなことを考えるために使っては

もったいない

 

考えても仕方がないことは考えない

 

その男に流されないように

私は私でいたい

 

大切な時間は

楽しいことを想像して

いや妄想に近いかもしれないが

幸せでいたい

 

 

目は口ほどに物を言う

 

 

くしゃっとした笑顔の

その目の奥にある何かに

引き込まれる

 

生気に溢れた

でもどこか純粋で

何か鋭いものも兼ね備えている目

 

私の目には

今この瞬間も

 

目の前にいなくとも

大好きなその人の姿が

たしかに映っている