5時にセットした
アラームよりも
早く目が覚め
10分で身支度を済ませて
いつものように
走りに出かけた
5月といえども
朝晩はまだ肌寒い
個々の家には
ポツポツと
明かりがつき始めるが
まだ外に出る者は
ほとんどいない
夜明けが早くなり
この時間に走りに行かなければ
日焼けしてしまうから・・
夕方の空気は
肌にまとわりつくように
どこか重たさを感じるが
早朝の空気は
おそらく木々達のおかげで
新しく生れ変り
清々しくて
気持ちが良い
車もまばらな坂道を
一気に下る
しんと静まり返り
今ここに存在するのは私1人
坂を下り
横断歩道を渡ると
神社へと続く
緩くカーブした上り坂が見える
上り坂の両側の壁面は
3メートル程あるだろうか
ぎっしりと
紫陽花が植えられていた
数日前には
気にも留めなかった
紫陽花達は
深い青色と紫色の中間のような
鮮やかな花をつけ始めていた
今ここに存在するのは私1人
しばし足を止めて
紫陽花に鼻を近づけてみた
紫陽花達は
示し合わせたように
この梅雨入り前に咲き始める
大きな花は堂々としており
思わず息を飲む
綺麗だ
しかし
美しい花を咲かせていたのに
時がくると
また示し合わせたように
枯れていってしまう
この上り坂の紫陽花達は
人間によって植えられたのに
枯れてしまっても
その花をつむこともなく
手入れされることもなく
無残にも枯れていく様を
目にすることになる
そしてまた
翌年には
何事もなかったように
美しい花を咲かせるのだ
それは
悲しいことなのだろうか?
美しい花を咲かせてくれる
今
を存分に味わい感じて癒される
そして
咲き終えて枯れゆく様を見送る
それは
決して悲しいこと
でもないのかもしれない
永遠に続くものなんてない
だからこそ
今この瞬間を大切にして
今この瞬間を感じていたい
日常に追われ
さも
人間が世界の中心のような顔で
当然のように
人間生活を送っているが
植物達の方が
四季を感じ
流れに逆らうことなく
遥かに
尊い時を過ごしているように思う
不平不満を言うこともなく
ただそこに存在する
日常の悩みなんて
ちっぽけなもので
取るに足らないもの
小さい世界の中で
わちゃわちゃしているだけで
なんだか
時間がもったいないし
それじゃぁ
楽しくもない
線路の上に架かる人道橋に
差し掛かった時には
世界は
すっかり明るくなっていた
また1日が始まる
大きく背伸びをし
遠くまで広がる市街地を眺めて
呟いた
今日も元気でいてね