「チョコレートドーナツ」
以前
映画館に行った際
告知のポスターが素敵で
なんとなく
気になっていた映画
CSで放送されており
思わず録画した
主人公がとにかく可愛い
女性よりも女性らしく
母親よりも母性がある
性別を超えた美しさがあるのだ
内容はさておき
時折
思い出したように
映画を観たくなることがある
それは
無性に野菜が食べたくなる
もしくは
訳もなくお肉が食べたくなる
あの感覚と似ている
体に足りない栄養素を
無意識の中で
体が欲しているあの感覚
おそらく
映画は
私の感受性が低下しているときに
何かのメッセージを与えるために
無性に観たくなるものなのかもしれない
いつもと同じ時刻に目覚めても
外はまだ薄暗く
空気もひんやりとしている
何をしていても
何もしていなくとも
地球は周り
時は刻まれてゆく
季節は移ろい
流れてゆく
今日は映画を2本観よう
少しワクワクしながら
反射材をたすき掛けにし
夜明け前の住宅街に駆け出した
立て続けに映画鑑賞し
心に栄養が浸透したのを感じる
しばし現実逃避したまま
1泊2日の新作ブルーレイを返却へ行く
車の窓を開けると
熱風が吹き込んでくる
日差しはまだ
皮膚を突き刺すように痛い
今朝のひんやりとした空気は
嘘だったかのように
空には
入道雲が浮かんでいた
白い絵の具のチューブを
何本も使って
重ね塗りしたような
空の青に映える白
空高く浮かぶ美しい入道雲を眺めながら
ある景色を思い出していた
たしか中学生の頃だったと思う
周りも眼鏡をかける子がちらほら出てきて
なんだか眼鏡ってかっこいい
そんな風に思っていた
子供のころは
ギプスをしている子がヒーローみたいで
なんだかかっこいい
と思っていて
そんな風なことの延長のように
いよいよ近視が進み
眼鏡を使うことになった
はじめて
眼鏡をかけて見た景色は
色がくっきりと鮮やかに見え
全てのものの輪郭までも
線が見えるほど
世界が
とてもクリアに美しく見えた
入道雲はより真っ白に
葉っぱの緑はより深緑に
今までモネの絵のように見えていた世界が
まるで写真に写したようにくっきりと見える
こんな美しい世界を
見ることができなかったなんて
なんてもったいない時間を過ごしたのだろう
そう思った
眼鏡と出会って
毎日が変わった気がした
物でも人でも事象でも
何かに出会って人生が一変することがある
それは
一つかもしれないし
人生で何回も出会うかもしれない
それを知らなくて
損をしていたような
それを知らなくて
ちっぽけだったような
それと出会って
人生が豊かになり
それと出会って
世界が広がり
それと出会わない人生なんて
なんてもったいないんだ
なんて
それはまるで
あなたにとっての
海のように
かつての
私にとって
それは眼鏡であった
そして
今は
私にとって
それは・・・
あなた だ
今までとりつかれたように
ただ我武者羅に突っ走ってきたけれど
楽しんだり休憩したらいけない
なんて
勝手に決めつけて走り続けて来たけれど
スピードを緩めて
周りの景色を眺めながら
ぼちぼち進んでも良いのかもしれない
今は
そう思える
大切なことに気づいて
大切な人に出会えたから
もう
突っ走らなくても大丈夫
そう自分に言ってあげたい
これからは
食べたいものを食べて
見たい映画を観て
好きな本を読む
楽しいことを楽しみ
好きなことを考える
そして
やりたいことをやる
それを咎めていたのは
他ならぬ自分だったのだから
これって
ほんの少しだけれど
チョコレートドーナツの
主人公に影響されているかも・・
まぁ
それでも良いじゃない
決めるのは自分なのだから