近所の新聞屋さんの軒先には、無人販売形式で5部ほど朝刊を販売している。
気の向いた日には、ランニングついでに購入するのが常であったが、この日は朝から暖かく何だか気持ちが良かったので、息子の自転車を拝借して新聞屋さんへ向かった。
通勤は自家用車であり、自転車に乗るのは何十年ぶりだった。
まず、またぐのに一苦労。スポーツタイプの自転車はママチャリとは違い、あの真ん中のフレームを跨げなければ始まらない。しかも、息子の身長に合わせているので完全にまたぐと足がつかない。怖い。
つま先立ちになり、なんとかサドルに座ることはできた。
さて、行きましょうかね。
とペダルに足をかけると、ハンドルが少し曲がっているのに気づく。バランスが取れずにフラフラ・・。どこかにぶつけたのだろう、ハンドルのゴムもはがれてピラピラしている。この状態で真夜中でも疾走していたのか・・。さすが高校男子だ。小さいことは気にしないものね。
道路の凸凹がダイレクトに体に伝わり、ハンドルをとられる。
やばい、転にだらイチコロだ・・。
超スローでペダルをこぎ、バス通りに出た時には調子を取り戻していた。
2月早朝の風を切りながらペダルをこいでいると、まるで高校生頃の自分に戻ったようだった。
自転車さえあれば、どこへだって行ける。親の目など気にせず、1人で好きな所へ行ける。誰と並走したって良い。自由だ!
普段、車のスピードでは見ることのない景色や、感じることのない頬にあたる風が心地よい。ゆっくり進むのも新鮮で、ワクワクしてきた。
自然と鼻歌を口ずさみながら、購入した新聞を少し曲がった前かごに入れて、颯爽とペダルをこいで帰った。
たまにはいつもと違うことをしてみるものだ。