ケアマネの私とオフの私の日記

書くことで気持ちの整理をしていきたい。。

同一労働同一賃金

職場の上司が今月60歳を迎える。

 

私の勤務する職場は、60歳定年らしい。その後は、時給で1年契約になり、各種手当があると聞いた。今までの先輩方は、60歳を機に退職し、旅行など自分時間を楽しむ方もいれば、年金受給開始となる年齢まで、月給→時給になり役職が外れても勤務継続される方もいる。各々の選択をし、各々の道に進まれるのを近くで見てきた。

 

さて

 

「定年なんてまだ先よ」と他人事のように暮らしてきたが、いつも隣に座っている彼女が定年を迎えることになり、少なからず私も考える機会が増えた定年制。

 

1年ほど前に、事務方からそれとなく定年後の身の振り方を打診された彼女は、数か月様子がおかしかった。仕事が手につかず、何度言っても忘れてしまう、いつもしないことをされたりと、動揺は隠しようがなかった。それだけ大きな問題なのだろう。

 

彼女が管理職でなくなるのは確実。そこにこだわりはないようだが(真意は分からないが)時給になると今より10万程減給になるという。収入減の不安。

 

そ、そんなにお給料もらわれていたのか・・・

 

彼女が入職した時代は、福祉業界は措置時代でかなりの高給取りだったとは聞いていた。確かに10万も減給になると、今と同じ生活レベルの維持は難しいだろう。しかしそれ以上に、ふと漏らされたこの言葉の方が彼女にとっては辛いものなのかもしれないと思った。

 

「昨日まで普通に仕事をしていたのに、60歳になったその日から、急に給料を減らされて、今までと同じ仕事をしていても、いきなり役立たずと言われているみたいで納得がいかない。なぜ、急に待遇がそんなに変わるのか?急に能力が落ちるわけじゃないのに。同一労働同一賃金と言われているのに、おかしい。今まで頑張ってきたのに、代わりはいくらでもいますからと切り捨てられたみたい。私はまだできるのに」

 

確かに。

 

しかし、決して役立たずと言っているわけではなく、どこかで線引きをしなくては、どこかで若者に道を譲らねば、社会は発展していかないのではないかな?と私は思った。

もちろん、言葉にはできない。

 

事務方の話の持って行き方ひとつで、お互いに嫌な気持ちを抱かずに円満定年がむかえられるだろうに。今まで頑張ってきたのは分かっている、急に能力が低下したわけでもない、その思いを聴いて認めてもらえるだけで彼女も少し楽になるのではないか。

 

他人事と思っていた定年制。

自分が彼女だったら・・・

 

私たちの年代は就職氷河期でフリーターも経験し、金銭的にも苦しい時期を長く過ごした。普通にご飯を食べて寝る家があるだけでありがたいし、健康保険を職場が負担してくれるなんて夢のよう、少ない給与でのやりくりが普通であり、彼女らのような給与体系での生活レベルには程遠く、少ないなりにどうにでもなるという開き直りはある。なので、彼女の気持ちを理解するには少し時間を要した。私とは生活レベルも価値観も違うから。

 

私にはどうすることもできない。

 

ただ、毎日、思い出したように不満や不安を口にする彼女の話を聞いて、それっぽい相槌をうつので精一杯だ。それで彼女の気持ちが軽くなのるのなら本望。

 

いつか、私も定年を迎えた時に彼女と同じような精神状態になるのだろうか。その時にただ黙って頷いてくれる者がいるだろうか。いや、きっと自分でため込んで昇華するしかない。

 

彼女が走り抜けたバブル期からの時代は、良い時代過ぎたのかもしれない。

 

あなたの代わりはいくらでもいます。

 

いつそう言われても良い覚悟は持っているつもりだ。現にそう言われて仕事をしてきたから。でも、彼女と私は違う。

 

今はただ、彼女の話を聞いて彼女が円満に定年を受け入れられるようサポートできればと思っている。