地上波では放送できないちょっと昔のノスタルジーとも称された
「IWGP(池袋ウェストゲートパーク)」
何となく眠れない夜にネトフリで配信されているのをみつけた。なぜか懐かしい気持ちにかられ再生ボタンを押していた。映画なら2時間で完結するが、ドラマは次回が気になって仕方がない。沼にはまり、仕事は休めないので寝る時間を削って3日間で最終話まで一気見してしまった。
23年前のドラマ。
小雪の後姿を見た時に、記憶がよみがえってきた。身体にフィットしたデザインの五分袖のシャツ。その袖の裾の後ろには少しスリットが入っおり、そこからのぞく腕の感じが妙に懐かしく、それは確かに見たことのある光景だった。しかし、思い出したその記憶はあまり良いものでもなかった。確かに23年前のあの頃、私は、彼らと同じ時代を生きていたことを確信した。
単音の着メロが流れると携帯のアンテナを引き出して応答する。ストラップは彼氏とおそろいなのが定番。ポケベルからPHS、携帯へ変遷していった頃。
水色のアイシャドウに、弧を描くような整った細眉。冷たさも感じられる青みがかった口紅。
光沢のあるシャツや、ピタッとしたシャツにミニスカート。
毛先が痛んでしまいそうな、いわゆるシャギーの入ったヘアスタイル。
光子の服装は23年前の私のようだった。いや、私が光子のようだったんだろう。いや、世間の流行りがあのようなテイストだったのだ。あの時代に他の選択肢は見つからなかったし、見つけようともしなかった。
光子がさりげなく持つハンドバッグもあんな感じで持っていた。役柄ではあるのだろうが、マコトとのやり取りで急に泣いたり、笑ったりするあの感じ、当時の女子はあんな感じの子が多かった気がする。光子が加藤あいだと気づいたのは、沼にはまって2日目だった。
光子にはじまり、今では有名になった俳優が多数出演していたことにまた驚く。
渡辺謙、阿部サダヲ、長瀬智也はともかく、窪塚洋介に高橋一生、坂口憲二、山下智久、妻夫木聡・・・
そういえば、私もネズミ講にはめられそうになったことがある。化粧品を購入し、人を増やせばなんて。そういえば、テレビでカラーギャングのニュースとか流れていたな。そういえば、ギャルがコギャルやガングロギャルへ移り変わっていったような。そういえば、PCが普及し始めて大きくて重たいノートパソコンを始めて買ったのもあの頃か。
懐かしいのは確かだが、あの時代になんて戻りたくもない。まだ若くて元気もあり、世間知らずで怖いものもなかったかもしれないが、自分が自分ではなかった。というか、まだ自分というものが分からずにもがいており、周囲に同調し、時に比較し、自分をないがしろにし、落ちるところまで落ちてしまっていたあの頃。時代がそうさせたのか、私がそうだったのかはわからない。あの頃の私は私ではない。あの頃の私は、とても生きづらかったように思う。
マコト的に言うと「面倒くせぇ」
2023年、個人情報がどうだの、ジェンダー問題やSDGSなど新たな課題もあるのだろうが、今この時のほうが、自分が自分らしくいられる気がする。無理に周囲に合わせることもなく、好きなようにできる。もちろん、責任は自分でとる覚悟の上だが。
そうできるようになったのは、時代の変遷というよりも、自分が年を重ねたからかもしれない。
ちょっと昔のノスタルジー、その通りだと思う。それが、今の若者には非現実的でささるのだろう。