ケアマネの私とオフの私の日記

書くことで気持ちの整理をしていきたい。。

会員No.44

上司より先に帰るのは

気がひけるが

自分の仕事はひと段落しているし

そこに残る理由もない

 

お疲れ様でした

 

出来るだけ平静を装い

定時に帰宅するのは当たり前ですよ

と消極的に主張しながら

職場を後にした

 

その日は少し急いでいた

 

前部署で10年ほど一緒に

お仕事させていただいていた

上司というより同士から

ある会の存在を伺っていた

 

ご年配で名のある方々が

月一で集い

お酒を楽しむ会らしい

 

県議会議員や元公務員など

色んな方々が来るから面白いぞ

 

へぇ〜

お邪魔しても良いですか?

 

もちろん

来てみると良い

 

そんな世間的には社交辞令とも思える

やり取りをしていたが

その方も私も

口に出したら必ず行動するたちだった

 

それ故に

色々なイベントをし

自分達が一番楽しんでいたのかもしれない

 

思ったことはすぐに実行する

瞬時の判断と行動力は

人生を何倍も楽しくし

またその楽しみに出会うチャンスも倍増する

 

その会がどんなものなのか?

話に聞いても想像すらできなかった

これは

行ってみるしかない

 

地元では老舗の料理店で開催

18時30分開宴

毎月第3火曜日

 

情報はそれだけ

でもなんだか面白そう

 

アポなしでお邪魔したにもかかわらず

受付の方は

快く迎え入れてくださった

 

広々とした和室の宴会場には

長テーブルが整然と並べられ

開宴時間直後ですでに満席だった

数名のベテランっぽい中居さんによって

お膳に1人分ずつ料理がセットされ

立派なガラスの容器に

たっぷりと

温かいお酒が入れられている

 

壁にはそのお酒のポスターが貼られていた

1人若い男性がおり

その酒造メーカーの方らしい

 

皆さん胸に名札を付けられ

色やシールで

その会の参加年数が記されている

 

ほぼ男性

そして

一様に還暦超えされているようだった

 

おう

よく来たな

紹介するぞ

この方は交通局上がりだからな

面白いぞ

 

娘さんですか?

 

そんなものですよ

ふふ

 

しばらく交通局のお話を伺うと

目の前の美しいグレイヘアの女性に話掛けられる

 

私この酒造に事務で勤めていて

誘われたのよ

今は家でゆっくりしているのだけれど

楽しいわよ

名札には18年の印

 

膝が悪いのか

座椅子に腰掛けている方も数名

皆一様に

後ろ姿に燻し銀の哀愁を漂わせる

 

暫しご歓談の後

時期選挙に向け

県議会議員さんのご挨拶があった

さすがに話し方が上手い

 

俺はこんな話を聞いたりして

勉強にもなってるんだよ

今から今月の誕生者が前に出て

祝いをするぞ

 

なんだか

デイサービスみたい

 

一般的なデイサービスとの大きな違いは

お酒が出ることと

男性が多いことだろうか

 

ほら

お姉さん

唐揚げをあげるよ

おじさんは女性には優しいからね

 

あら

ありがとうございます

 

このような方々が

一堂に会すると

迫力がある

 

私なんて

この会では

本当にただのお姉さんだった

 

何も知らないお姉さん

 

それもなんだか

しっくりきた

 

あなたもこの会に入ったらいいわよ

ねぇあなた

是非またお誘いしてね

女性は2人しかいないから

あなたが来てくれると嬉しいわ

 

と話されながら

女性は折り箱にラップを敷き

丁寧に

料理を盛り付け始めた

 

もう帰られるのですか?

 

そうなの

この会は1時間なのよ

それも私には丁度良いの 

疲れないしね

変に酔う方もいないでしょ

送迎バスもあるから

続けていられるの

 

なるほど

 

知人が知人を誘い

この会は広がり繋がっている

やはり

人間は何かに属していたい生き物なのか

仕事を終えたあとは特に

何かに属していたいのだろうか

 

男性が多いのはそんな理由もありそうだ

 

小一時間の会

今までに出会ったことのない方々に

出会い

その時間を共有し

その会に属する感覚を体感した

百聞は一見にしかず

 

私って

ちっぽけな世界で生きている

仕事や自分と全く違う世界を見るのも

良い刺激になった

 

千と千尋の神隠し

宴会場にでも来た気分で

目に映るものすべてが珍しく

ただのお姉さんを演じるのも

悪くなかった

 

面白いと思ったことは

思うだけでなく

これからもやってみる

 

何かしらのヒントが隠されているから

 

同士は会員No44

シール3つの三年目だった