ケアマネの私とオフの私の日記

書くことで気持ちの整理をしていきたい。。

パン売り場の恐怖

あの日は、朝から食器を落として割ったりと、思い返すとついていない日だったのかもしれない。

 

牛乳パンにはまっていた。

ふかふかの生地でなかなかの食べ応えもある。販売している店を探して、住宅地から離れた工業地帯の大きなディスカウントショップに来ていた。

 

休日の昼間は家族連れも多く、ゆっくりと見れないので24時間営業をいいことに、早朝に1人で出かけることが多いのだが、あの日は、たまたま娘と休日の昼前にその店に買い物へ行った。

 

売り切れていたらどうしよう・・

 

はやる気持ちを抑えて、大きなショッピングカートを押して、パン売り場に直行した。パンの売り出しがあり、普段は通路の場所にまでコンテナが積んである。人だかりもできていた。

 

もう、私の目には牛乳パンしか入っていなかった。

 

「ブツブツブツ・・・」

 

どこからか何か話しかけられたような気がして振り返ると、お客の男性が誰かに文句を言っているようだった。その男性は、こちらに背を向けて違う通路に向かったので、誰か他の客にでも文句を言ったのだろうと思った。

 

よかった。牛乳パンあった。しかも安い!

 

「このばか親子がっ!ブツブツブツ・・・」

 

今度は前半の言葉はしっかりと聞き取れた。振り返ると、先ほどの男性がこちらを横目に明らかに、私たちに文句を言ったと思う。

違う通路に行ったのかと思いきや、また後をつけてこられたようで、一瞬にして鳥肌が立ち、恐怖を覚えた。

 

すれ違いざまの、ほんの数秒の発語であったが、確かにこちらへ敵意を向けられたと感じた。

 

おそらく、パンコーナーに向かっている女が自分の進路を塞ぎ、そのデリカシーのなさにむかついたため、抑えきれず、戻ってきて文句を吐き捨てた。

そんな感じだろう。

 

文章にすると、たいした出来事でもないのだが、その場にいた娘もその男性からの異様な視線や雰囲気に恐怖心を覚えていた。

 

「私たちに言っているんじゃないよね?また、追いかけてきたらどうする?早くレジに行こう」

 

「そうだね、とりあえず早く行こう」

 

それから、その男性の姿を見ることもなく無事に帰路についた。

 

おそらく、そのような人に謝ったところで分かってもらえるとも思えない。面と向かって文句を言われれば、もちろんすぐに謝る。仮に、私に落ち度がなくても、その男性を引き留めて文句を言おうなんて思わない。謝ってもらいたいとも思わない。

 

とにかく、関わり合いを持ちたくない。

 

世の中には、どう譲り合っても分かり合えない人がいる。

 

あの男性からすれば私のような者がそうだろう。だから、いくら言い訳をしても、言われるがままに対応しても男性の気持ちは収まらないだろうし、私ではなくても他の誰にでも同じような対応をされるのだと思う。

 

その男性が、私が、良い悪いの問題ではない。

 

もっとも重要なのは、互いに関わらないことだ。

 

そのようなことを娘に話しながら、これから彼女が社会に出て同じような場面に遭遇しないことを願い、上手く対処する術を身に着けさせるのが私の役目だとも思った。実は私の方が恐怖心で一杯だったのかもしれない。

 

あおり運転や交通事故、まして通りすがりの犯行なんて、まさに相手は誰でも良いし、誰でもその当事者になり得る。

 

たまたまそこに居合わせただけなのに、交通事故なんてその後の処理まで見ず知らずの相手と時間を共にして関わらなければならない。恐怖でしかない。

 

いくらこちらが気を付けていても、事故や事件にいつ巻き込まれるかも分からない。

 

パン売り場で文句を言われるぐらいで済んでよかった。

心からそう思った。

もっと気を付けて生活しなければならない。

そして

いつでも娘を守れるようにもっと強くなりたい。