手作りのクッキーやお菓子を手土産に作るものだった。それは、私にとっては普通の事だった。
同じ部署に配属されたアラフィフ男性に指摘される迄は。。
可愛い陶器のカップをもらったので、休日出勤の際、そのカップにプリンを作り、手土産に持って行ったときだった。
「俺、無理っす。手作りとか。前にもらった栗の渋皮煮も実は、ちょっと。俺、大丈夫っす」
予想もしない返答に固まってしまった。
手作りって無理な人がいるんだ。
とはいえ、断り方もあるでしょう。気持ちだけでも受け止めてくれればいいのに、何か傷つく。こっちが大丈夫じゃないっす。
いやいや
これって、親切の押し売りだったのかも。今迄、誰にも指摘されなかったけど、手作りのお菓子とか、人が作ったこういうの嫌な人がいるんだ。
もしかして、今まで喜んでくれていると思っていた人達にも迷惑かけていたのかな。
手編み嬉しいんだと受け取ってくれていた彼らも、実は良い迷惑だったのかな。
だとしたら、勘違いも甚だしい。恥ずかしくもあり、申し訳なくもある。
その日以来、人様に手作りの物やお菓子をプレゼントするのはやめた。
よくよく考えてみると
周り回っていただいた、どなたが漬けられたか分からない漬物とか、見知らぬ方の手作りのおはぎなど、私も遠慮していた節はある。
好みでない物を、あたかも欲していたような振りをして、喜んでいただくのは、優しさとは言えないのか。
プレゼントしてくれようとした気持ちは素直に嬉しいことは間違いない。
ただ、そのモノが問題なのであり、そこも素直に伝えた方が良いのだろうか?
以前、一緒に給食を作っていた年配の女性は、何が入っているか、誰が作ったか分からないから外食はしたことがないと言っていた。
分からないでもない。
それはさておき、何が傷つくって、プリン喜んでくれるかな?と勝手に期待していた気持ちが裏切られたようで勝手に傷つき、それは、こちらの勝手な期待であったことを知らしめされ、更に傷が深くなったのであった。
世の中、色んな価値観の人がいる。無意識に、こちらの価値観を押し付けたいたことを反省し、これ以上傷つきたくはないので、その男性とは距離を置くようになってしまった。