何気なくつけたテレビで流れていた
バラエティ番組
結婚できない?していない?
芸能人3名がゲストだった
あの番組
中でも女優Sから醸し出される
攻撃的な雰囲気や
男勝りな発言に
自分と重なるものを感じて
若干の恐怖を覚え
瞬時に客観的に自分を省みていた
タクシー運転手から
女性だと甘く見られ
暴言を吐いた話など
他の場面でも彼女は常に
攻撃的で沸点が低く
言葉遣いもしぐさも荒い
少しのことですぐに苛立ち対抗する姿は
テレビ越しにでも
とても男性的に映った
何か話を振られると
粋がって険しい顔で荒い言葉を吐く
そのこと自体を
かっこいいと思っているようにも
仕方なく演じているようにも見えた
そう
今までの私のようで
テレビの前で息が止まりそうになった
私って
人から見ると
こんな感じに映っていたんだ・・・
もう一人の女優さんは対照的で
おっとりとしており
同じ場面でも
彼女のように苛立ちはしないといった様子
もし私が男性ならば
間違いなく
もう一人の女優さんに好意を持つだろう
いや
女性である今でもそうなると思う
なぜ女優Sはそんなに攻撃的なのか?
もしかすると
必死に自分を守っているのかもしれない
弱さを隠すために
無理して強がっているのかもしれない
その結果
攻撃的で気が強くてかわいげもなく
男勝りな女が出来上がる
もう誰も信用できない
1人で子供たちを守り育てていく
そう思ったあの頃から
私も
攻撃的で気が強くてかわいげもなく
男勝りになっていった
弱みなんてみせられない
私がしっかりしなくてはいけない
私が子供たちを守っていくんだ
女だからってバカにされてたまるものか
負けてはいられない
頑張らなくては
そう虚勢を張っていた頃の自分と
女優Sが重なって見えた
と同時に
女優Sをかわいそうだとも思った
もっと肩の力を抜いて
楽に生きてもいいんだよ
きっと
そうすることで
もっと幸せになれると思うよと
それは自分に向けられた言葉でもあった
東京大学学部入学式祝辞
普段はテレビなど見ることのない
私の元へも
情報は届いてきた
冒頭の
女学生の置かれている現実も
十分に衝撃的ではあったが
私の心にずしんと響いたのは
「・・そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思考ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。・・」
上野千鶴子氏について私は何も知らない
恥ずかしながら
フェミニズムすらよく理解していない
しかし
このフレーズが
私にとっては生きる上での手掛かりに思えた
知らず知らずに
協調性を保とうとしてきた
バランスをとるためには
やりたくないこともたくさん手を上げてきた
協調性を保つために
自分が我慢すればそれでよいと思ってきた
あなたが働かないのなら
私が働きます
誰もしたくないのなら
私がやりましょう
誰も守ってくれないのなら
私が守るしかないわ
皆が逃げるのなら
私は立ち向かっていくしかないじゃない
マヨネーズで表現すると
あなたが油なら私は卵黄で良いわ
全体として混ざり合って
美味しくなるのなら
本当は油でいたいのだけど
卵黄でも仕方がない
という風に
そうやって
自分なりにバランスを取ろうとしてきた
本来の自分は置き去りにして
見ないふりをしているうちに
本来の自分すら分からなくなっていった
しかし
少し前から
なんとなく気づいてはいた
それは
彼との出会いがきっかけとなった
彼は
今までに出会ったことのない
人並外れた
リーダーシップを持っていた
どんなことでも解決に導き
それ等はすべて上手く進んでいった
だんだんと
私は自分の弱さを認めることができ
今までのように
虚勢を張る必要はなくなり
男性的な強さは
彼に委ねることができ
本来の自分を
取り戻しつつあったのかもしれない
その時には
ただぼんやりとそう感じていたが
女優Sと上野氏の存在が
それを確信させるには十分なものだった
本当は私
もっと女性らしいことをしている方が
落ち着くんだ
そんな思いが沸々と湧いてきたのだ
本当は私
男性みたいに仕事でも渡り合えない
どちらかというと
笑顔でごまかしてしまっている
本当は私
とても臆病で自信がなくて
一人で立っているのもやっと
とても弱いから強いふりをしている
本当は私・・・
強い者のそばにいると
弱い者のままで良いのかなと思えた
自分を大切にすること
何が好きで何が嫌いなのか
結局はそこにたどり着くように思う
ありのままの自分を受け入れる
自分の弱さを認める
その弱さが強さになる
毎日の出来事を
丁寧にこなすことで
少しずつ
自分を好きになってあげたい
そして
今日もまた私の1日は終わってゆく
いつ会えるとも分からない
彼のことを想いながら