♬When the night has come・・
一度読んだ本でも
時が経ち読み返すと
また違った印象を持つ
と聞く
30年ぶりに観た
stand by me
もまさにその通りであった
主人公と同じ12歳の私は
両親共働きであり
年の離れた2人の姉も家を出て
いつも1人で気ままに過ごし
近所のレンタルビデオ店に通っては
映画三昧の日々でもあった
青い山を背景に
前へ進む少年たち
サントラのジャケット
を思い出す
映画の最後に
大人になり作家となった主人公は
12歳の頃のような友達は
その後持てなかった
誰もがそうだろう
とキーボードを打つ
大人になった今だからこそ
そのフレーズがすっと心に入ってきた
死体を探しに行くなんて
冒険みたいで
時折流れる洋楽が格好良くて
パイの早食いなんて
面白そうだな
くらいの印象しかなかったが
改めてみると
物語はサントラなしに進む場面も多く
12歳の今を上手く表現しているように感じた
私は内気で大人しい少女だった
9歳で転校した後も
それは変わることはなかった
手を上げて発表することもなく
集団の中に混ざり
皆と同じように過ごしていた
世界が一変したのは
12歳となった頃である
たまたまクラスメイトに
家が近い女の子がいた
彼女は
明朗活発を絵にかいたような
少女であった
彼女の両親は
東京から駆け落ちしてきた
と聞いた覚えがあり
あか抜けていたのも頷ける
クラスでもリーダー的な存在であり
積極的に意見を発し
運動もよくできて
バレエを習っていた
そんな彼女と
何故だかとても仲良くなったのだ
学校帰りの下り坂からは湾が見えた
その下り坂を小走りに
片手で傘を持ちあげて
2人で進む
メリーポピンズみたいに空を飛べそうだ
と本気で思った
自転車で連なって
少し離れた山の中の美術館へ向かう
ちょっとした冒険でもあった
校区外にバスに乗って出かける
もちろん親には内緒
色違いの手袋を買った
さらに足を延ばして
映画を見に行ったりもした
近所の大学の近くにあった
ハンバーガー店
数名で集まりハンバーガーを食べた
大学祭
あるサークルの大学生たちに
小学生なの?大人びているね
きっと2人とも美人になるよ
と言われて
顔を見合わせた
ポテトチップスと2ℓのコーラを持ち寄り
友達の家に集合して
テレビの話や友達の話に興じ
危ない刑事のタカとユージになりきった
もともと背格好も似ており
互いの親も
写真に写った彼女と私の
見分けがつかなくなっていた
彼女の他にも
仲良しグループは
数名で構成されていた
いつもの・・・
メンバーで集まっては
その日その時を楽しんだ
映画でも
死体を探しに行く途中
食料品を買いに行く前に
4人で座り込み
他愛も無い話を交わしながら
遠出することだけが楽しいのではない
すべてがそろっていたのだと今なら分かる
どこへ行くのかも理解していた
というシーンがある
確かに12歳の私も
そのような感じを抱いていた
まだ小さくて
世間知らずで何もできないけれど
その狭い世界の中では
何だって楽しくて何だってできる
と思っていたし
将来への不安なんて何もなく
今のその時が全てであり
皆一様に平等でもあった
彼女と共にした1年間で
私は活発な少女へと変わっていった
まわりもそのような目で
私を見るようになっていった
しかし
映画と同じように
中学に進学すると
クラスも部活も別々になり
いつの間にか
顔を合わせることも
言葉を交わすこともなくなっていった
彼女は生徒会長になり
公立高校へ進学
その後はイギリス留学を目指して
フリーター生活を送った
私は
私立高校へ進学
アメリカ留学を断念し短大へ進み
東京へ就職するも夢破れUターンした
あの頃
まだ何者でもなかった
皆横一線で同じだと
疑うことも知らなかった
あの頃
明日の遊びに行く予定くらいしか
考えられなかった
学校に行けば
必ずクラスメイトと会うことができた
12歳の頃のような友達は
その後持てなかった
誰もがそうだろう
少なくとも私はそうであった
だが
それで良いとも思っている
心の中には
いつまでも12歳の少女がいるから
何か面白いことを思いついた時や
嬉しいことがあった時
その12歳の少女が顔を出す
嬉しくてワクワクして
感情を抑えきれない時
おそらく
私は12歳になっているんだと思う
あの頃のワクワクした気持ち
それが
私の本当に楽しいこと
のベースになっているのかもしれない
大人になったからって
大人ぶる必要はない
無理に大人ぶることで
本当にやりたいことや
本当に楽しいこと
まして
自分の気持ちすら
分からなくなってしまいそうだ
少年のような心を持っている・・
なんて言われるが
12歳の少年のような心を持ち続けるのも
素敵だと思う
世間的には立派な大人になっても
遊び心は持ち続けていたい
Whenever you're in trouble
won't you stand by me,♬
and
I want to stand by you.