satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

燃やせないゴミの行方

庭先の樹を数本切り倒し、数週間おいてみたが、ゴミ袋に入るサイズにカットする元気はなく、自治体の清掃工場に持ち込むことにした。こういう時は、軽自動車でもワゴンタイプは助かる。

 

後部座席を倒しブルーシートを敷いて数十本の幹を積み込み、走ること40分。高台の住宅街を通り抜け、山道を抜け、大きな工場が立ち並ぶエリアに清掃工場はあった。

 

燃えるごみのレーンに入り、車ごと計量を受ける。以前にも、とある利用者さんのゴミ屋敷の片づけで出た100㎏を超えるゴミを持ち込んだことがあり、その要領は心得ていた。

 

「何を捨てられます?車の後ろの窓、開けてもらえますか?」

 

乗車したまま後ろの窓を開ける。

 

「あぁ、これ太さが10センチ超えてるから、燃やせないゴミですね。そこ出て右に曲がって、あっちの燃やせないゴミのレーンに行ってくださいね」

 

木って燃えるんじゃないの?と疑問符を浮かべつつ、指定された通り隣の敷地の燃やせないゴミレーンに向かった。

乗車したまま計量を受けるスタイルは同じだった。こちらから、燃やせないゴミへ行くよう指示を受けたことを伝える。

「市内の方?免許証を見せて。はい、これ持って、初めて?まっすぐ坂道を下ると、突き当りに係員がいるから。またこちらに戻ってきてね。」

 

免許証の確認もそこそこに、地図の書かれたクリアファイルを渡された。

 

突き当りってどこなんだ?進行方向に建物はなく、道路は途中で砂利道になり、丘の上でもあり周囲には何もない砂漠のような道なき道を、数メートルおきにある案内板を頼りに進むと、視線の先に二人の係員らしき方の姿が見えた。駐車場や目印はなく、バックでと手招きされ、バックミラーで係員の旗を頼りに停車した。

 

おそるおそる車を降り、トランクを開けた。

 

「あぁ、木ね。このまま捨てていいから」

 

係員の先は数メートルの崖のようになっており、その下にはいわゆる燃やせないゴミが散らばっており、ショベルカーのような建機が1台、作業をしていた。その崖の下めがけて係員が幹を投げ込む。しばし、あっけにとられてしまったが、軍手をはめて係員にならい、1個ずつ崖の下めがけて幹を放り込んだ。

 

この景色、よくテレビで見る発展途上国のゴミ捨て場みたい。

このような場所が日本にも、いやこんな近くにあるんだ・・。

 

確かに、燃やせないのだから埋め立てるしかない。リサイクルできないのだから、どうしようもない。でも、いつかはこの埋立地も一杯になってしまうだろうに、その時はどうするのだろう?ていうか、もし有害なゴミが混ざっていたら土壌に侵食し危険なのではないか?ていうか、やっぱ幹は燃えるでしょうに、いや、幹こそ埋め立てられれば分解されて土に戻るから良いのか?ていうか、こんな原始的な処理方法なんだ・・

駅から数十分のところに、こんな砂漠のようなゴミの山があるなんて。

普段、当たり前のようにゴミを捨てているけれど、その行く末はここなんだ。ゴミステーションに持っていけば家からゴミはなくなるけど、世界からごみが無くなるわけじゃない。同じ地球にあり続ける。そうか、だからSDGSなのか?ゴミにならないに越したことはない、ゴミは減らした方が良い、ゴミはなくなればもっと良い。なくすことが難しければ資源にすれば、再利用できれば良いってこと?

 

都合の悪いことは見ない、臭いものには蓋をする、そんな自分に気づかされた。崖に幹投げ込む、その下に広がる燃やせないゴミの山、その光景は衝撃的だった。