satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

保険証

色々研修にも行ってきたけど

唯一今でも覚えているのは

物事は色々な角度から見なさい

ってことかな

同じ事柄に対しても

見る人によって

見る位置によって

変わってくるからね

 

と上司に言われたことがある

 

 

娘が歯科検診の

要受診の紙をもらい

近所の歯科医院へ行った

70代前後の院長先生と

その娘さんで経営している

こじんまりとした

地域に密着した歯科医院

 

もちろん

予約の必要もなく

その日も受診したのだが

受付で慌ただしく

診療中の息子の受診料を払い

息子を残して先に帰ろうとしている

女性と出くわした

 

見るからに慌てており

その後ろでゆっくりと順番を待っていたが

受付の娘さんに保険証の掲示を求められ

カウンターに置いて椅子に座った

 

その歯科医院は2台しか駐車できず

バス通り沿いにあるため

駐車に時間をとれない

 

その日は

先に斜めに車が停まっており

何度も切り返して駐車した

 

先に停まっていた車は

助手席に車窓迄積まれた荷物があり

異様な雰囲気だった

 

しばらくして

診察室から出てきた先ほどの女性の息子は

日中のこの時間帯に受診し

次回もいつでも良いですと話している

きちんとしているとはいえない身なりで

印象に残った

 

虫歯の治療も終わり清算の際

 

あれ

保険証私返しましたっけ?

 

いいえ

返していただいてませんよ

ひょっとすると

先ほどの女性に

渡されたのではありませんか?

 

電話番号を娘さんに渡し

見つかり次第

連絡をくださるという

 

この時点で

保険証をなくした苛立ちと

先ほどの親子への不信感で

いっぱいになった

 

スーパーに向かう車中で

保険証がなかったらどうしよう

保険証が悪用されたらどうしよう

とネガティブ思考に傾く

 

考えてもどうしようもなく

考えるほど心配は募るばかりなのに

 

ほどなくして

娘さんからお電話いただき

やはり先ほどの女性が

間違って持ち帰っており

今歯科医院に持ってきてくれた

とのこと

届けましょうかと申し出てくださるが

買い物もあるので後で寄ります

とスーパーへ向かった

 

スーパーに到着し

自動ドアを入ろうとしたとき

ブッブー

ラクションを鳴らされる

振り返ると見ず知らずの女性

 

しばらく考え

さっきの歯科医院の女性だ・・・

女性は車から降りると

 

ごめんね

間違って持って帰ってね

歯医者に届けたから

 

と深く頭を下げてくださった

先程までの不信感は

一気になくなり

その前歯のない笑顔に

良い人が溢れてみえた

 

買い物を終えて

駐車場に戻ると

先程の女性の車が

斜めに停まっていた・・

 

帰りに歯科医院に寄ると

お詫びにと

歯ブラシと歯磨き粉をいただいた

 

お母さん

人を見た目で判断しちゃだめだよ

保険証も見つかったし

歯ブラシもらったし

運がよくて良かったね

 

と娘

 

その通りだね

 

一目見た感じで

親子に不信感をいだき

保険証がなくなったくらいで

苛立っていた

 

そんな自分が恥ずかしく

不甲斐なかった

 

おそらく

その時は疲労感もあり

心に余裕がなかったのだろう

大したことでもないことに苛立ち

誰かのせいにしようとする

心が良くない状態のときがたまにある

 

保険証紛失の一件で

忘れそうになっていたことに

気が付いた

 

自分本位の

一方通行で物事を見るのではなく

色々な角度から見てみることも大切

 

そうすると

大概のことは

大した問題ではないものだ

 

そうすると

自分の心にも余裕が持てて

苛立ちなんて感じずに

過ごすことができるから

 

この世で

身の回りに起きる事象について

私は何も理解できていないのだろう

私という位置から眺めているだけで

そこには

色々な意味合いがあり

私がそう思っていても

それは事実でもないのかもしれない

 

ということは

私が色々悩んだことろで

本当の答えなんて分からないし

答えを知ったところで

何がどうなることもない

 

色々な角度から物事をとらえて

自分の考えを押し付けずに

それはそれとして受け止める

そんな心の余裕を忘れないように

時々

このようなことが起こって

私に知らせてくれているのかもしれない