satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

救急車要請

1人出勤の土曜日

午前中の訪問も終わり

事務所でパソコンに向かっていた

 

隣接するデイサービスからの

謡曲に耳を傾けながら

キーを打つ

 

「ちょっと!

 誰か2階にあれを取りに行って!」

 

「ちょっと!

 誰かいないの!?」

 

「あぁ

 もう1人じゃ無理だから

 誰か看護婦さん呼んできて!!」

 

そのデイサービスから

ベテラン看護婦さんの大声が響いた

ただ事ではないと

駆けつけると

 

「あぁお願い

 救急車を呼んで!

 ここの電話使ってるから

 できないのよ」

 

ベッドには利用者の女性が

寝かされており

入浴介助あがりの女性スタッフも

集まってきた

 

「分かりました

 どんな状態ですか?」

 

「呼吸不全

 バイタルがとれないの!!」

 

廊下をダッシュ

事務所の電話から119番通報した

通報は初めてのことで

一瞬110番か?悩んだ

 

「火事ですか?

 救急ですか?」

 

「救急です」

 

「まず住所を教えてください

 男性ですか?女性ですか?

 どのような状態ですか?

 今救急車を向かわせました

 呼吸停止ならドクターカーも向かわせます

 電話を切らずに

 その方のそばの電話に切り替えてください・・」

 

そこまでやり取りし

デイサービスに電話をつないだ

 

今考えると

スマフォからかければ良かったのに・・・

 

デイサービスには

応援の看護師さんも集まり
AEDを開始していた

在宅酸素をしていて

入浴後に意識消失したらしい

その日に限って

主任は休みで

各部署の主任たちもいなかった

副主任の女性はあたふたし

ベテラン看護師さんはどこか

生き生きしてみえた

 

「とりあえず

 外に立って

 救急車誘導しますから」

 

小雨の中

救急車の到着を待つ

ほどなくしてサイレンの音が近づき

救急車とドクターカーが到着

 

正面玄関ではなく

ベッドに近い入り口に誘導する

 

医師を含む8名ほどが

各々に機材を持ってベッドサイドへ

 

「こちらです」

 

ベテラン看護師が情報を引き継ぎ

処置に入る

 

「ちょっと!

 このベッド動かした方が

 いいんじゃないですか!

 あぁ

 ちょっと誰か手伝って!」

 

とベテラン看護師

久しぶりの急患に

やはり看護師の血が騒ぐのだろう

救急隊員らは慣れた手つきで

各々の役割に徹する

 

おそらく私は

自分の担当の利用者さんではないこともあり

冷静にその場の状況を

見ることができたのだと思う

 

おろおろするもの

ただ様子見に来るもの

慌てて空回りするもの

とりしきろうとするもの

ただ立ちすくむもの

 

私は看護師ではない

その場は救急隊員に任せて

必要な情報提供をし

ご家族に電話をする

もしかすると

部署も違い出すぎた真似だったのかもしれないが

今はそうすべきだと思った

 

何十回とコールを鳴らすが出られない

自宅や携帯と数十分かけ続け

ようやくつながり

搬送先の病院名を告げた

 

ベテラン看護師さんは

救急車に同乗し病院へ向かった

 

副主任さんは茫然としてしまい

固まってしまっていた

 

「大丈夫ですよ

 全て上手くいったじゃないですか

 すぐ救急車も来てくれたし」

 

「上の人がいなくても

 誰でもできるようにならないと

 いけないですよね」

 

と事務の女の子

 

その通り

誰でも様々な事態に対応でき

誰がいなくても

同じように

業務として遂行しなくてはならない

 

たまたま

私がそこにいたから

救急車を呼んだだけの話なのだ

 

実は

過去に私のお客さんが

同じようにデイサービスで

意識消失したことがあった

ご家族は遠方の方であり

代わりに私が救急車に同乗した

 

もうそれは本当に

申し訳ないが好奇心100%だった

救急車に乗ってみたかったから

 

車内での聞き取りや医療処置

病院に到着してからの検査や手続き

再度の聞き取りなど

経験させていただいた

 

医療関係者の方々の

的確で無駄のない処置には驚くばかり

その姿をみると

今自分が生かされていることを実感する

そして

こうやって駆けつけてくれることを

ありがたく思い

彼らの使命感に頭が下がる

 

そして

漫然と生きている自分を反省する

 

ベテラン看護師さんへ

病院の状況を伺い

お迎えに行けることをlineした

 

以前

救急車に同乗した際に

帰る手段迄考えておらず

上司に迎えに来てもらったため

今できることの一つとして

頭に浮かんだのだった

幸いに

午後の訪問もなかったから

 

あなたがよく言っていたように

言われる前にする

何をしてほしいか考えて先回りする

言われてからするのは誰だってできるから

そんなの

当たり前ですよ

 

迎えに行くなんて

当たり前のことだが

今まで気の回らなかったことに

一つ気づけたようで

私にとっては大きな進歩

即lineしたのだった

 

帰りの車中で

ベテラン看護師さんの思いを聴く

 

「ここでしなせるわけにはいかないと思ったのよ

 でも在宅酸素をしていて

 今日から量もアップしていたし

 でもちゃんとご家族に挨拶できてよかった

 お嫁さんも

 お風呂に入れて良かったって言ってくださったし

 最後が大事なのよね

 色々ありがとう・・」

 

イレギュラーな事態に多少動揺し

言葉が止まらないようだった

話してくださって

それを聞くことができて

何故だかとても嬉しかった

 

デイスタッフ間では

今日の出来事について

各々の思いを語り共有しているようだった

 

何か事態に直面した時には

誰かに話を聞いてほしいし

共感してほしいものなのだろう

その場にいた者同士で語り合い

その時の気持ちを整理していく

 

私は

特に誰かと共有することもなく

通常通りの業務に戻った

週明けに

上司に報告しようかとも思ったが

10倍になって話が返ってくるだけで

かえって負担になるかと思い

しなかった

 

その時の気持ちを整理するために

ここに綴ることにした

 

 

あなたが言うように

相手が何をしてほしいか感じ取り

言われる前に行動する

その時何をすべきなのか

頭を使って考える

 

少しは実践できた気がします

まだまだ

だけれどね