ケアマネの私とオフの私の日記

書くことで気持ちの整理をしていきたい。。

短期記憶障害

「あれ?

 今日

 休みだったかな?」

 

 

あるお客様の病院受診に同行した

待合室には高齢者が多く

満席状態

狭い待合室にひざを突き合わせて着席した

 

ほどなくして名前を呼ばれ

診察室に通される

 

医師は年配の方で

カルテに手書きで記載しながら

問診をされる

 

今どきの医師の多くは

数台のPCをデスクに置き

カチャカチャとキーボードを打ち込みながら

体はPCの画面へ向けての診察が多いように思うが

この手書きの医師には好感を覚えた

 

診察室内は

受付との間に小窓が設けられ

二つの籠に分けて

カルテを回しているようだった

電子カルテではなく紙の分厚いカルテだ

 

窓際のシンクは

小さなタイルが貼ってある

昔ながらの造りで

不思議と診察を補助する看護師たちも

昔ながらの看護婦さんに見えた

 

まるで

ホテルのような病院が増えているが

この病院は

昭和の映画に出てくるような

昭和の診療所のようで

どこか懐かしさを覚え

まだ実際に病院として機能していることに

少し驚きも感じた

 

タイムスリップしてしまったように

病院内の空気が

世間とは違うように感じた

 

高齢者相手ということもあり

急性期の診察でもないため

日頃の様子を聞き取り

「しっかり水分をとってください」

と一言

 

その一言でも

その方は安心したように頷かれていた

 

だんだん

物忘れが進んでいく

年相応の物忘れや

疾患による物忘れ

心配事があったり

体調不良が続くと不眠にも悩まされる

 

「先生

 夜眠れなくて

 深夜に目が覚めてしまって

 それからまた眠れないんです

 睡眠薬心療内科の先生に調整してもらいました」

 

「なら

 そのまま起きて軽く体操をしたり

 本でも読んでみたら良いですよ

 昼間の1時間くらい昼寝をしても良いです」

 

同じフレーズを違う人に言われても

納得されないかもしれないが

医師の一言は

高齢者にとっては何よりも重みがある

 

「そうですか

 そうしてみます

 先生、ありがとうございます」

 

 

この夏の暑さから寝苦しい夜が続いている

 

翌日の仕事のことを考えたり

休みの日の用事を考えながら

寝苦しい夜もある

 

そんな日の翌朝は

 

「あれ?

 今日

 休みだったかな?」

 

寝起きにその日の予定が

全く分からなくなることがある

 

自分でも怖い

 

普段通りに眠りについたつもりでも

翌朝

今日が何日で何曜日なのか?

何の予定が入っていて

仕事なのか、休みなのか?

睡眠でリセットされて分からなくなる恐怖

 

しばらくすると

現実の世界に戻ることができる

現時点では・・

 

きっと

高齢になり

物忘れが進行すると

朝起きて今日の予定が分からないことが

増えるのかもしれない

 

さらに

自分は何者なのか?

どこにいるのか?

私を起こしに来るあの人は誰なのか?

目が覚めたら何をすればよいのか?

何をどう使って食事をとればよいのか?

何に着替えればよいのか?着替えなくてもよいのか?

 

色んな事が分からなくなっていく

 

そのことに自分で気が付き

忘れることへの恐怖を感じるのに

どうすることもできない

分からないことを悟られたくはない

 

まわりは

取り合ってもくれない

こんなにも

分からないことへの恐怖を感じているのに

ただ

こうしろ、ああしろと言われる

 

もしかすると

高齢者の方々は

このような不安の中で過ごしているのかもしれない

身の置き場のない不安

自分で自分が分からないことへの恐怖

 

寝起きに

今日が休みなのか、仕事なのか分からない

そんなことがあるたびに

高齢者の方の気持ちが

少し理解できたような気がした

 

ならば

どう対応させていただけばよいのか

糸口が見えたようにも感じる

 

一つの考え方として

今日の予定が分からなくても

まして自分が誰なのか分からなくても

大した問題じゃないわ

そう思えるようになれたら

だいぶ気が楽になるのではないか?

 

なかなか難しいことだろうが

自分の力では

どうすることもできない事象について

 

そんなの

大した問題じゃないわ

 

そう言える人間になることができたら・・

 

 

お客様からは

たくさんのことを

身をもって教えていただいている

 

 

まだまだだな

私・・・