運動は得な方ではなかった
小学生の頃は
体育で”2”をもらったこともある
転校先の小学校では
学校の近所にEちゃんという
とんでもなく運動神経抜群の女の子がいた
あごにほくろがあり
男子からは
桑田真澄なんて言われても
さわやかな笑顔で気にもしてない様子だった
運動会でも水泳大会でも
Eちゃんはキラキラしていた
その活躍を眺めるのが好きだった
まるで
自分もEちゃんのように速く走れる気がしたりして
しかし
実際のところ
私は私でしかなく
思うように体は動かない
運動会
できれば参加したくなかった
集団行動も好きではないし
直射日光にさらされて1日を過ごすなんて・・・
特に
徒競走なんて
精神的にも大の苦手であった
人と”競争”すること
未だにあまり好きにはなれない
他人の事なんて気にしていない
と思っているつもりでも
徒競走となると
不思議と競争心が沸いてくる
別に1位になっても最下位になっても
何がどうなるわけでもないのだろうが
あのスタートラインに立たされると
1位を目指したくなる
1位にならないといけない脅迫観念に囚われる
足がもつれそうになっても
必死に前を向いて
身体機能を100%使って
ゴールを目指した
あの競争心はどこから来るのか?
動物的な本能が
私にも備わっているのか??
高校生になっても
もちろん
運動会なんてもってのほか
できれば
ずっとテントの下で眺めていたい
キラキラする人たちを
3年間クラス替えもなく
同じ顔を見て過ごした
私立の食物科ということもあり
花嫁修業のお嬢様たちが大半だったが
私のような者も数名混在していた
きもの屋のYと私は
テストでは
常に1,2位を行ったり来たりしていた
専門学科であり
どちらかというと成績よりも
毎日のようにある調理実習に没頭していた
調理のセンスがあるか
片づけまでスムーズにできるか
おいしそうな献立を立てる才能
それらは
皆素晴らしいものを持ち合わせており
到底
私には叶うものではなかったし
素直にリスペクトしていた
3年生になり
Iというクラスメイトが
急に私をライバル扱いし
周囲にもそのように語るようになっていった
何故?
一方的にライバル視され
訳が分からず
嫌な気持ちであり
面倒くさくもった
運動会の徒競走のように
私は”競争”を好きになれない
全く気にしなければ良いのだろうが
一方的に競争を吹きかけられ
Iのことが苦手になっていった
卒業まで
きもの屋のYと私の独走状態は続いた
Yとはとても気が合い
成績なんて気にならずに
一緒に古着屋巡りをしたりして
楽しい時を過ごした
こちらはそのつもりがなくても
一方的にライバル視される
こちらはそのつもりはないのに
相手の勢いに飲み込まれそうになる
その感覚は
大人になった今でも感じることがある
そんな時は
他人の言動なんて気に留めずに
私は私でいられるように
彼の言葉を道標に
心のザワザワを落ち着けるようにしている
まだまだだけれど・・・