satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

〇〇の会

「わたくしの名前は〇〇でございます」

 

平日の午前10時

大規模な

公共施設の2階中ホールにいた

 

出入口は舞台のすぐ横にあり

客席は舞台から階段状に設置されている

その客席の後ろから2段目に案内される

そこから見渡す客席は

グレイヘアが8割といったところだろうか

客席の造りから

座りやすい前の席から埋まっているようだった

またそれは

会場の外に出るには舞台迄下りなくてはならず

途中で退席するのは憚れるような

そんな緊張感も醸し出していた

 

舞台には入学式の舞台に飾られるような

大きな花瓶(いや壺といった方が良いのかもしれない)に

立派な花が生けられていた

 

よくテレビドラマであるような

なにかあやしげな集会

そんな雰囲気でいっぱいだった

 

舞台袖や客席の要所に

係と思わしき

品の良いかつゴージャスなスーツを着た

気の利く年配の女性が配置されている

どうみても

私一人は紛れ込んだようだった

 

この会の存在は

聞いたことはあった

 

お客様のお身内の方が

以前より積極的にこの会の活動をされており

資料をいただいたこともあったが

参加させてもらう気持ちなんて

微塵もなかった

 

しかし

いつものように訪問した際に

その方のご主人から

何気なく今回の会のチラシをいただき

平日にもかかわらず

たまたま私も休みであったので

ご主人もスピーチされると伺い

これも何かのご縁かと講演を聞きに行くつもりで

大変失礼な言い方をすると

好奇心が勝ってしまい

会場に向かったのだった

 

数名の方のスピーチから始まった

その出だしが

皆揃って

 

「わたくしの名前は〇〇でございます」

 

なのだ

 

しかも

声の大きさもイントネーションも皆同じで

違和感を感じた

 

しかし

私以外の人間はさもそれが当たり前といった雰囲気

 

スピーチの内容は

何も怪しげなものでもなく

日常の出来事から

各々感じられたことなどお話されるのだが

やはり

要所要所に気になるワードが入ってくる

 

こんな世界観なんだ・・・

 

スピーチが終わると講師と思わしき女性が登場

何ら怪しげな人ではないのだが

やはり

気になるワードを挟んでこられる

 

皆でスピーチをした方のお話についての

質問や感じたことを発表しあうらしい

 

講師が呼びかけると

案内係と思わしき女性が

勢いよく手を挙げた

 

「はい

 わたくしの名前は〇〇でございます

 わたくしは・・・」

 

とご自分の意見を述べられる

とんでもない大きな声で

とんでもないハイテンションで

ハキハキと

述べられる

 

その後も同じように勢いよく右手を上げて

「わたくしは・・・」

が続く

 

意見の内容自体は怪しげなものではないように思うが

その話し方やワードがなじみのないもので

もはやその状況を観察するような気持ちで

この会に参加している人々について

考えていた

 

ご主人のスピーチも聞き終え

何となく〇〇の会の全貌もつかめたところで

第二部がはじまる隙に

客席の階段を背中を丸めて忍び足で駆け下り

舞台横の出口を目指した

 

同じものを信じ

同じものを支えにして

日々の出来事や悩みを発表し合い共有する

 

以前

アルコール依存症家族のミーティング

に参加したことがある

悩みを発表し合い共有するのは同じだが

ミーティングはただお互いに話を聞くだけで

意見はしない

これが正しいという定義は存在していないのだと思う

 

世の中には色々な団体や宗教そして考え方もある

 

今回〇〇の会を覗いたことで

そんなプライベートなことを人と共有したくはない

生きていくうえで

それは不安になることもあるけれど

本を読んで知識を深めたり

自分で解決していく方が

私には適しているのかもしれない

そう思った

 

〇〇の会などで活動されている人を

非難するつもりもなく

それも一つの形なのだと思う

 

ただ

私は勧められても参加する意思もないし

今後も

ないだろう

 

そのことが分かっただけでも

行って良かったと思うのであった