ケアマネの私とオフの私の日記

書くことで気持ちの整理をしていきたい。。

取り立て

「お金は ちゃんと払う

 しっかり確認してからだ

 今はない 急に言われてもない」

 

90代女性 一人暮らし 要介護状態 身寄りなし

難聴のため筆談を要し 軽度の認知症の疑いあり

自炊され生活へのこだわり多く

多額の預貯金を保持し自己管理できている

将来的には施設入所を希望

 

夏の終わりに退院され早3か月超

介護サービスを利用するも

一度も現金集金に応じられない

運よく口座引き落としに捺印いただいた事業所のみ

利用料は徴収できていた

 

介入当初は必要書類への署名捺印にも応じ

まさか

滞納続きや要望の多さのために

事業所からサービス中止の申し出を受けるなんて

私の予後予測が甘かった

 

「料金の支払いがなければサービスは受けられない」

 

そう何度もご説明するも しまいには

「あんたは 私をおどすのか!?

 集金に来たのか!?」

と声を荒げて手を振りかざされる

 

こちらの思う常識が全く通用しない

 

難聴の為 筆談を用い

コミュニケーションに通常の数倍要する

 

おそらく

自分の思うままに生活してきて

ほとんどのことを自分の思い通りに運んでこられたのだろう

それはお金の力もあったのかもしれない

お金への執着心があったからこそ

多額の預貯金を有するに至ったのだろう

 

90歳を超えた人生の強者にとって

私なんてただの小娘・・・

 

こちらが正論を述べても

とるに足らないささいなこと

そう思われているように感じてならなかった

 

しかし

介護サービスといえどボランティアではない

利用料金の支払いがなければ

今後の支援は受けられない

薬も飲めないし

買い物も頼めないし

お風呂にも一人では入れない

体調確認もしてもらえない

ご本人も支援は必要と言われている

 

無償でサービスは受けられない

 

そんな世間的には当たり前のことでも

「年寄りをいじめるのか!?」

と激高され 話は平行線であった

 

いよいよサービスを打ち切られることになり

それでは生活が立ち行かなくなるため

各サービス担当者が集まり

料金の取り立てという状況となった

 

初めのうちはいつものように

「分からない

 急に言われてもない」

の一点張りであったが

数日前から数回 昨日にも 

支払いの用意をお願いしますとお伝えしていたし

もうここで引くわけにはいかなかった

サービスを中止されて困るのはご本人なのだから

 

しかしながら

話を逸らされてなかなか本題に辿り着かない

こちらを試すように他の要望を持ち出して

そちらに話を持っていかれ

その要望に対する返答をしていると

まさに日が暮れてしまう状況

 

傾聴

 

ケアマネとしては大事なプロセスの一つだが

傾聴だけしていると本題に入れず

また

それを分かっているかのように

次々に話をすり替えられるため

大変心苦しかったが毅然として他の話は遮り

とにかく支払いをと譲らなかった

 

数十分後

観念されたようにレジ袋からゴムで束ねた1万円札を取り出し

何度も何度も話を逸らしながら支払われた

 

途中

「あんたが 早く私に言わなかったからだ」

と叱責されるが

ちゃんとお伝えしていますと動じなかった

 

この私の対応が良いのか悪いのか冷たいのか分からない

しかし

今までただ傾聴するだけであったが

時と場合によっては毅然として対応することも必要なんだと

身をもって感じた

それはご本人の今後の生活のためでもあるから

その場しのぎでは上手くゆかないから

 

結局

今までの各事業所の料金は徴収できたが

あと一事業所は口座引き落としの手続きがなければ

毎回このように取り立てることも難しいので

今後の支援はできないとの返答

 

ここへきても

口座引き落としの銀行印はないと言われたり

人に預けていると言われたり

盗られたと言われたり

 

確かに認知症の進行もあるのかもしれないが

時に耳が聞こえているように振り返ることもあるし

人の名前や予定のことも把握しているし

支払いをしたくないがために

分からないふりをされているような気がしてならないのだ

感覚的なもので

分からないふりをしている空気を感じてしまう

これはあくまでも私の主観で

なんの根拠もないのだが・・

 

例えそれが事実だと判明しても

私のするべきことは変わらず

ご本人の意向に沿った自立支援をサポートするのみ

 

時に個人的感情が勝ってしまい

先入観をもってフィルター越しに眺めてしまう

 

ケアマネジャー

自分の立ち位置が分からなくなることも多い

 

家族でもない

子供でもない

身元引受人でもない

友人でもない

直接ケアできるサービス事業者でもない

ボランティアでもない

 

その方のお宅を訪問すると

時間の流れが異常に早く

取り立ての日も2時間以上滞在していた

体感時間は30分なのに

 

すぐにペースに呑み込まれそうになる

それも仕方がない

人生の強者に勝てるはずもない

しかし

そこでただの個人の私になってしまうのではなく

やはり

ケアマネの私でいないといけない

そうすると自ずととるべき行動がみえてくるはず

そう思った

 

これはあくまでも私サイドの視点であって

ご本人からの視点ではもちろん違った状況であると思う

できることなら

ご本人に負担をかけることなく

自己決定の結果 良い方向に向かっていると感じられるような

関わり方をしていけたらと思っている

そうすることで

私の負担も軽減されるだろうから