大学、高校と立て続けに入学式を終え、やっと肩の荷が下りる、そんな気持ちでいた。
入学式では、まさにフレッシュな学生の姿を見て、自分の身も引き締まる思いと、学生時分を懐かしみ、人生で三度学生気分を味わえるのかもな、なんて感慨深くもあった。(自分、子供、孫の卒入式までは生きていられるだろうし)
自分で選んだ道に進むことができ、もう何も言うことはない。親としてのお役目は果たした、そう思っていた。
18歳成人といえど、先月高校を卒業したばかり。まだ、社会経験もなく、やってみたいことばかり、興味が先に立ち、そこに潜む危険性など分かるはずもない。目にしたものを全て純粋に受け止め、疑うことなくすとんと理解してしまう。
そうじゃない、大人は良い人ばかりじゃない。社会は綺麗ごとだけでは済まされない。SNSで流れてくる情報は取捨選択が必要、見極めなければならない。月並みに言えば、世の中そんなに甘いもんじゃない。WinWinなんて、そう滅多にある話じゃない。情報が多すぎる。溢れている。それは、操作されたものかもしれない。正しい情報は一握りなのではないか。
本当なら、今でも手を握りしめて、危険から身を守ってあげたい。身代わりになってあげたい。でも、それじゃぁ、いつまでたっても親離れ子離れできない。
一年分の学費を入金した息子名義の通帳を託した。自分で管理するよう念を押したのだが、秒でクレカを申し込み、引き落とし口座に登録していたのだ。
便利なのはわかる。でも、君はまだバイトもしていない、収入のない身でクレカを作ろうなんて、私には理解不能。第一、収入がないのに作れるのか?
作れるらしい。
バイトをしていなくても学生で親の収入があれば、作れるらしい。。。私に家のローンがあるか聞いてきて、事態が発覚したのだ。
やはり、通帳を託すのは時期尚早だったか。性格的に、こうなることは分かっていたが、いつかは自立しないといけない、それには今がよい機会だと思ったのだが。念押し不足を悔やむ。いや、身をもって痛い思いをしないとわからない。いやいや、でも使い過ぎで学費が引き落とせなくなっては困る。いやいやいや、でも君を信じてあげなければならないのも分かる。でも。でも。使い過ぎが怖すぎる・・。
とにかく、自分で処理しきれないことは相談するよう念押しし、カードが来たらひとまず保管し、口座変更することに落ち着いた。「すみませんでした」とlineで謝罪してきたのは感心だったが、まだまだ肩の荷は下りそうにない。
大学生とはいえ、まだ両手を離すのはハイリスク過ぎる。いつになったら、一息つけるのだろうか・・。