satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

おもてなし

毎月、お客様宅を訪問し、生活状況を確認しモニタリング記録を付けるのは、在宅ケアマネ必須業務の一つ。

私のお客様は、要介護認定を受け、何らかの介護サービスをご利用されている人生の先輩方だ。

 

訪問時、おもてなしとしてお茶を出してくださる方も多い。

 

あるお宅では、ゴキブリがカサカサ蠢いている台所に隣同士に椅子を並べて、「ケアマネに味見してもらおうと思って」と、手料理を出してくださったり、何かが沈んでいる湯呑のお茶を振舞ってくださったり、ご丁寧に缶コーヒーをコップに注いでくださったり。

 

そのお気持ちを受け取り、何とかいただくようにしていたが、どうしても無理な場合もある。

 

このように文字にして書くと、大変失礼な文章にも見えるが、その「おもてなし」のお気持ちには、いつも感謝している。まずもって、他人を自宅に招き入れてくださる時点で、大変恐縮であり、失礼がないように気を張り詰めているつもりではある。

 

一般的には、こちらは業務で訪問している立場であり、お茶一杯いただいてはいけないというのが大前提。

 

しかし、お客様の「おもてなし」を無下に断るのも失礼であり、信頼関係にも影響してくる。初回の訪問時に、やんわりとお断りさせていただいている旨を伝えるようにはしている。

 

また、最近はマスク着用の為、その場でマスクを外していただくのもどうかとの思いもあり、せっかく出していただいたお茶に手を付けずに終えることも増えていた。

 

そんなある日。

 

70代後半のご夫婦宅で、奥様がお茶を出してくださった。しばらく手を付けずに、ご主人の話を伺っていると

 

「最近の方は、お茶を出しても手も付けられないんですよね。なぜだろう?何か失礼なことをしたかしら?って思っていたの。気づいたんだけれど、近所の小学生に挨拶した時にね、返してくれる子もいれば、「あの人は知らない人だから」と逃げるように行ってしまう子もいるのよね。そういう世の中は寂しいわね。病院も退院の時に菓子折りを持って行っても受け取られないもの。昔は、気持ちとしてありがたくいただくものだったけれど、変わってしまったのね。私なんて古い人間だから、気持ちは大事だと思うのだけれど。ある方に、なぜお茶に手を付けられないのか聞いたら、立場上、遠慮しているって言われて、それならそうと言ってくれれば良いのに。私は分からないことは何でも聞くのよ」

と奥様。

 

コロナ流行のため、出していただいたお茶に手を付けないことが常習化していた自分を反省した。飲む飲まないに関わらず、スルーしてしまえば、出してくださった方の気持ちを受け取らずにいたということだから。

 

さて、今後は「おもてなし」してくださった際、どのように受け止めて、どのようにお返しすべきだろうか。