satoimo's diary

人生も折り返し地点を過ぎた。自分を大切にするためには...

脳梗塞

脳梗塞は倒れるものだと思っていた。

 

母の場合は、まっすぐ歩けない、何となく左に傾くくらいで、歩く際には足が上がらないが、その場では足を上げることができ、受け答えもしっかりできており、救急車を呼ぶなんてそんな重症ではないと思っていた。

 

後々調べると、脳梗塞の判断の一つ「FAST]に当てはまる症状だった。どこかで聞いたことはあったが、考え付きもしなかった。幸い血液サラサラの点滴治療で、発症後1週間経過し状態は安定。一度脳梗塞を起こした部位の回復はないらしいが、悪化は免れることができた。後は、リハビリあるのみ。

 

入院後、手続きや家のこと、仕事に、日々の弁当作り、自分の通院など慌ただしく過ごし、しばらくは、動くために食べ物を無理やり補給する日々が続いた。

 

職場では、普段通りのケアマネさんを演じる。

 

「コロナワクチン接種の影響か、調子がおかしい、排せつの失敗が増え、ご飯も食べず薬も飲まない。もう、僕は無理です。母を施設に入れたい。とりあえずショートステイを前倒しでお願いしたい」

 

施設の情報を持参し、ご自宅に向かった。家にいても寝ているだけであり、看護師や人の目があり、入浴や食事の支援もあるデイサービスへ行った方が良いだろうと、デイサービスの方に事情を説明し送迎に立ち会う。

 

「体の調子はどうですか?痛いところはあります?」

 

「ん~、なんかおかしいのよね」

 

要介護3の女性は普段に増して足取りが重く、送迎車に向かう後姿は右足を引きづるように見えた。その場では大きく足を上げて見せられる。どこかで見た光景、嫌な予感がする。主治医には長男さんが昨日連絡し、水分を取ってゆっくり休むようにと助言を受けてはいるが。

 

「デイ利用中に具合が悪くなったら、長男さんと先生にご連絡をお願いします」

 

昼過ぎ、長男さんから救急搬送され脳梗塞で入院になったと連絡があった。やはり、あの場で、再度、主治医へ連絡しておけば良かった・・・女性も幸い、後遺症の残りにくい部位だったらしく、原因が分かり長男さんも安堵していた。

 

同じくして、母が集中治療室から多床室に移動したと連絡を受ける。女性が入院したのは母の入院先と同じで、担当の相談員さんも同じ。おそらく、女性が救急搬送され、母は移動となったのだろう。

 

そんな話を息子にすると

「僕、そんなの聞きたくない。怖い。無理」

 

高校生には怖い話なのかもしれないが、この職業に身を置く以上、身をもって経験したことは、それを生かして支援していきたいと考えている。